MAZDA公式ブログ
2015.3.10
【マツダの匠】なぜマツダは計測にこだわるのか(前編)

マツダのクルマづくりに息づく伝統、主義、思想、そして技能。それらを受け継ぐ匠の志や情熱をご紹介する連載企画『マツダの匠』。第3回目は、クルマづくりに欠くことのできない計測技術にスポットを当てます。

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測らなければ創造も変革もない

計測分野の技術はクルマづくりに密接に関わっています。
「計測」をシンプルに表現すると「何が起こっているかを明らかにすること」。特にエンジンやトランスミッションといった、外から見えない部分は、中で起きていることを数値として客観化できなければ、具体的な開発や改良もスタートできません。

クルマづくりは、まず測らなければ創造も変革もあり得ないのです。

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(写真:静かな熱気があふれる計測の現場)

 

現象を物理量として

パワートレイン開発本部の高椋 清美(たかむく きよみ)さんは、計測技術でマツダを引っ張ってきたベテランの一人。サバンナのデザインとロータリーエンジンに魅せられて入社し、長く研究開発の分野で計測解析業務に携わってきました。

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高椋さんが重視してきたのは「現象を物理量として押さえること」。つまり現象の数値化です。

従来、テストで現れる種々の現象(振動、異音、高温等)は、原因を推測しながら一つずつ潰していくことで開発を行ってきました。しかし、経験や知識に基づく推測には限界があります。現象のそもそもの因子を数値的に解明できれば、その因子をコントロールすることで最適な解決策が見えてくるのです。

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(写真:流体の量と温度を測るセンサーが埋め込まれたクラッチ板。大事な技術がこめられています。)

ある時、海外メーカーからオートマチックトランスミッション内の、クラッチ故障の原因究明依頼がありました。高椋さんたちは、運転中のクラッチの温度を計測することにより、原因解明に成功。高速で回転するクラッチの温度計測という圧倒的な技術力に、海外メーカー担当者は驚きの声を上げたといいます。
これらの技術力はSKYACTIV-DRIVE開発にも発揮され、トルクコンバーター内を流れるオイルの流量や油温の計測によって、高い品質を確保することができました。

 

奥深く、幅広い計測の仕事

高椋さんによれば、計測の仕事は「何でも屋」。あらゆる計測条件(いつ・どこで・どんな環境・要求精度)下で、必要とされる物理量を正確に得る技術が求められます。腕のよい「何でも屋」であるためには、専門外を含めた幅広い知識や情報に精通していなければならず、普段から知識のアンテナを拡げておかなければなりません。

特殊な計測も多く、使うセンサーも既製品だけでは対応できないことがしばしば。そのときはセンサー自体を開発します。たった数分の計測のために、何週間も準備に費やすことも珍しくありません。
こうした創意工夫の積み重ねはすべてマツダの品質向上につながっています。高椋さん自身「色々な部門から頼りにされている実感がある」と語るように、計測の技術はマツダのクルマづくりに欠かせないものとなっているのです。

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(写真:たった数ミリのディスクの側面にセンサーを埋め込むことも)

 

計測技術 伝承塾

この重要な技術を会社の資産として次の世代に引き継いでいかなければ、という思いから高椋さんが立ち上げたのが「計測技術 伝承塾」。直接のきっかけは、社内でも部署によって計測技術に差があると気づいたこと。以来、組織横断的に技術の維持・向上を行う場の構築に尽力し、さまざまな協力を得て2008年に実現しました。

高椋さんが考える伝承塾の目的は「情報の共有化」による「全体のレベルアップ」、そして「技術の伝承による人材育成」。技術の世界は縦割りではダメで、横にもつながっていなければなりません。そのためにも、組織の壁を越えての活動にこだわったのです。

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先人への尊敬と後進への思い

現在、伝承塾では29名のワーキングメンバーが活動し、年2回の特別活動に、延べ700人以上が参加するほどの規模まで成長しました。中心メンバーであるパワートレイン開発本部の吉田 裕将(よしだ ひろまさ)さんによれば「先人が培ったものに自分たちの築いた新しい要素を加え、後進に伝えていくことが責務」。
業務外の活動のため、色々と負担があっても、「技術の蓄積はマツダの糧となる」との思いが大きなモチベーションになっています。

技術は実践を通じて人から人へ。マツダ技術者のクルマづくりにかける思いを体現する伝承塾のこれからが楽しみです。

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(左写真:伝承塾への思いを語る吉田さん、右写真:高椋さんにとって吉田さんは「相棒」)

次回は、マツダにとっての「計測技術 伝承塾」の重要性、そして開発の現場で計測との両輪となっている「解析」についてもご紹介します。(第4回へ続く)

 

マツダの匠の第1回と第2回はこちらのブログでご紹介しています^^

▼【マツダの匠#1】 クレイモデラーの情熱に迫る(前編)
http://blog.mazda.com/archive/20140820_01.html

▼【マツダの匠#2】 クレイモデラーの情熱に迫る(後編)
http://blog.mazda.com/archive/20141017_01.html

 

カテゴリー:マツダの人