MAZDA公式ブログ
2015.3.24
【マツダの匠】 なぜマツダは計測にこだわるのか(後編)

マツダのクルマづくりに息づく伝統、主義、思想、そして技能。それらを受け継ぐ匠の志や情熱をご紹介する連載企画『マツダの匠』。第4回目は、前回の「計測」と両輪をなす、「解析」にスポットを当てます。

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技術伝承をマツダの力に

経験や研さんによって技術者に蓄積される技術や技能は、クルマづくりの大きな力としてマツダを支えています。これら重要な技術を会社の資産として次の世代に伝えるべく、パワートレイン開発本部の高椋 清美(たかむくきよみ)さんが中心となって立ち上げた「計測技術 伝承塾」。

目的は、情報の共有化による全体のレベルアップ、そして技術の伝承による人材育成です。

「時間をかけて人から人へ、実践の中で伝えることで、はじめて継承されるのが技術というもの。さらにそれを組織の壁を越えて行うことが、会社の力を蓄える重要なポイント」と考える高椋さん。現に伝承塾は、一つの部門で完結することなく、はじめから社内横断的に企画されています。その利点は大きく、伝承塾参加者からは、「他部門の情報収集に役立つ」「広い交流を通じて相談がしやすくなった」といった声が多数よせられています。

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(写真:培った技術を次の世代へ)

 

会社の関わり方も重要です。伝承塾は本来の開発業務外の活動のため、会社の理解や協力がなければ発展も継続も不可能です。「幸運にもマツダは、部門をまたいだ活動がしやすい環境がある」と高椋さんは語ります。
現在、伝承塾には、同じ理念を共有する幅広い世代の社員が活動していますが、取り組みについての周囲の理解も進み、今後のさらなる発展が期待されます。

 

クルマ作りと解析技術

伝承塾に参加する、パワートレイン開発本部の西川 潤(にしかわ じゅん)さんは、開発分野で計測と両輪をなす解析の専門家。クルマの開発にとって「解析」とは、実際の現象(振動、強度、温度等)をコンピュータ上で再現することです。

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(写真:解析歴18年の西川さん)

 

例えば、部品の限界強度を調べる時、実際に部品が壊れるまでテストするのは非効率ですが、コンピューター上のシミュレーションであれば、理論上無限に条件を変えながら何度でもテストできます。解析技術の著しい進歩によって、現象の再現性はきわめて高いレベルに達しており、解析はクルマの開発に不可欠なプロセスとなっています。

 

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(上図:耐ノック性向上のためのピストン温度予測をコンピューター上で行う。計測の緻密さが予測技術を向上させた事例。)

 

高めあう解析と計測

「ユーザーが直接触れる最終製品を作る仕事を」という思いで、材料メーカーからマツダに転職した西川さん。解析がクルマの信頼性に直結し、人の命にすら関わることを肝に銘じながら日々仕事に向き合います。その過程で欠かせないのが計測担当とのチームワークです。

西川さんは、「計測して、はじめて解析で現象が再現できる」と計測担当に大きな信頼をよせ、逆に計測の高椋さんは、「計測は万能ではなく、経験のない部分では解析が頼り」と語ります。

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(写真:計測と解析はひとつのチーム)

 

現場では密に連携し、互いに意見し合いながら、技術向上にいそしむ毎日。他の専門分野への敬意と信頼の上で業務を進めることはマツダの伝統ですが、開発現場でも計測と解析とが、お互いになくてはならない存在として技術を高めあっているのです。

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(写真: SKYACTIV-DRIVEの小型軽量化のためにも度重なる解析を実施)

 

人間性豊かな技術者へ

解析が進歩したとはいえ、シミュレーションは人間が設計するもの。全ユーザーの全ての使用シーンを網羅・再現することはできません。そこで生きるのが知識と経験。より本質的なポイントを押さえ、さらには開発時と量産時に生じるわずかなギャップまでも予測するには、それまでの技術者としての蓄積がものをいいます。一朝一夕に身に付くものではなく、何度も挑戦を重ね、長い時間をかけて学び、養われていくものです。

西川さんは後輩たちに「新しいこと、難しいことに恐れず挑戦し、痛みも成功も分かる人間性豊かな技術者に育って欲しい」と語ります。マツダのベテラン技術者は「困難な課題ほど心が燃える」とそろって口にしますが、上の世代が持つ熱い思いを、より若い世代に橋渡しすることも自身の重要な役割と西川さんは感じています。その意味でも、幅広い世代が集まる伝承塾は、これからのマツダを支える、大きな存在意義があります。

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(写真:幅広い世代が集まる伝承塾)

 

すべてを魅力あるクルマづくりに

伝承塾は、組織的に技術を伝承する体制づくりのパイオニアでもあります。社員の問題意識から生まれた自発的な活動が、会社の糧となり、やがては魅力あるクルマに結晶化してユーザーのもとへ届きます。

生み出したアイデアを実現するためにすべてのもてる資源を使う。想いの強さこそがマツダの強みです。

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マツダの匠の第1回、第2回、第3回目はこちらのブログでご紹介しています^^

▼【マツダの匠#1】 クレイモデラーの情熱に迫る(前編)
http://blog.mazda.com/archive/20140820_01.html

▼【マツダの匠#2】 クレイモデラーの情熱に迫る(後編)
http://blog.mazda.com/archive/20141017_01.html

▼【マツダの匠#3】 なぜマツダは計測にこだわるのか(前編)
http://blog.mazda.com/archive/20150310_01.html

 

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