MAZDA公式ブログ
2016.4.13
【潜入取材】魂動デザインが美しくきらめく理由~「電着塗装」技術の真価~

マツダの魂動デザインを支えるボディカラー。突然ですが、いったい何層で塗られていると思いますか?

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正解は4層!
塗装の厚さはコピー用紙1枚程度。およそ0.08㎜(※ソウルレッドの場合)しかない厚みが、実は4つもの層で構成されているのです!

今回はその中でも、お客様の目にはほとんど触れることのない第1層(下地)にあたる「電着塗装」の作業現場に潜入します。

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(図:4層塗装の構成、写真:第1層の電着塗装)

 

それぞれ役割が異なる4

はじめに塗装の基本から。

クルマの塗装は、電着→第1ベース→第2ベース→クリアの順に仕上げられていきます。またそれぞれサビを防いだり、塗料の発色を良くしたり、美観や光沢を出したりと、異なる目的があって塗り重ねられています。

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(図:塗装工程の流れ)

 

なるほど。4層の塗装にはちゃんと理由があったんですね。

しかし、一点だけどうしても聞き慣れないワードが・・・。第1層の「電着塗装」とはいったい何なのでしょうか?その秘密を探るべく、早速、広島の本社工場にある電着塗装職場を訪ねました!

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(写真 左:電着塗装されたボディ、写真 右:ベース塗装されたボディ)

 

塗装服に着替え、いよいよ出発!

「よく来てくださいました!一人でも多くの人に電着塗装のことを知ってもらえると嬉しいので、今日を楽しみにしていました。」と歓迎してくれたのは、専用の塗装服静電靴に身を包んだ、電着塗装職場の齊藤文男(さいとうふみお)職長。

塗料には可燃性の溶剤が含まれるので、静電気を寄せつけないようにするため、これらの着用が必須。

さらに、ボディカラーの美観を保つためには埃などの極小のごみすらも工場内へ持ち込むことも許されないんだとか。塗装現場の繊細さを出発前から意識させられました。

私達、取材チームも塗装服と静電靴を着用し、現場入りします!

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(写真:電着塗装職場を担当する齊藤文男職長。とてもわかりやすく解説してくれた)

 

あらゆる環境下で塗装品質を維持

「これから紹介する『電着塗装』は、最終的にベース塗装に覆われるため、街を走っている完成したクルマでは見えない箇所です。そんな普段見えないところまで、しっかり電着塗装しているんですよ。炎天下や潮風など、あらゆる環境で、お客様に長く愛車に乗っていただくために、私たちの職場はとても重要な役割を担っています。」

「電着」は、大きく分けて3つの工程から成り立っています。それでは、工程をひとつひとつイラストで見ていきましょう。

【工程①】ボディの汚れをとる

まずは「表面処理(湯洗・脱脂工程)」。お湯をかけて小さなゴミや埃などを洗い流したあと、脱脂槽で油を取り除きます。

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【工程②】きれいに塗るための膜を張る

つぎに「表面処理(化成被膜工程)」。化成被膜槽に浸して薄い膜を付けます。こうすることで、塗装の密着性が高まり、仕上がりがより美しくなります。

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【工程③】電気の力で防錆塗装をする

最後はいよいよ「電着塗装工程」。

「電着塗装」を一言でいうと、電気の性質を利用して電着液という塗料をムラなく塗る作業。この電着液がサビを防ぐ役割を果たすことで、ボディの上に重ねる美しい塗装色を長く保つことができます。

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塗装前のボディをシャワーでバシャバシャ洗ったり、丸々プールの中に入れたりするんですね。
カラーを塗装する前にこんな工程があったとは驚きです。きっと、そのまま色を吹き付けるのとは、仕上がりが全くちがうのでしょうね。

「良い所に気付きましたね!実は、この表面処理工程や電着塗装工程はボディカラーを美しく保つためのとても重要な工程なのです。身近なもので例えると、洗顔や化粧水で肌のお手入れをするのと同じで、塗装の肌を美しくするための下地作りですね。

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(写真 左:車体工場から届いたボディをきれに湯洗中)
(写真 右:電着塗装後のボディ洗浄の様子。思いっきり洗う)

 

表面処理が不十分だと、塗料の密着性が弱くなって塗装が剥れてしまったり、塗装後のボディの表面が凸凹になって見た目が悪くなったりと、後の工程が台無しになってしまうんだとか。

 

高い防錆力はここから生まれる

「電着塗装は、電着液が入っている浴槽にボディを浸して塗装していきますが、ただ浸すだけではクルマ全体をきれいに塗る事ができません。高い防錆力を持たせるために、プラス極の電極棒から電気を流して、プラスに帯電した電着塗料をマイナス極のボディの隅々まで付着させます。これにより、ボディ表面だけでなく、ドアやボンネットの内側はもちろんのこと、クルマの隅々まで余すことなく塗っていきます。」

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(図:電着塗装)

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(写真 左:クルマ4台がすっぽり浸かってしまう電着槽、その水量は約200t!)
(写真 右:ドアの内側も隅から隅まで電着塗装がしっかり!)

 

「クルマが入っていくそれぞれの浴槽は、色々な薬品が含まれた溶液で満たされています。よい電着塗装を行うために溶液濃度をベストコンディションに保つのも私たちの仕事。そのため職場のメンバーは、塗装の肌を左右する浴液の管理に神経を注いでいます。」

 

214項目のチェックで塗装の肌を美しく保つための維持管理

ここからは実際に現場でオペレータとして活躍している、原田典明(はらだのりあき)さんと高橋理(たかはしさだむ)さんに表面処理工程について紹介してもらいました。

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(写真:電着塗装職場で活躍する高橋理さん(左)原田典明さん(右))

 

現場を直に見てまず驚いたのは、その浴槽の大きさ。

工程②でクルマが通る化成被膜槽は、クルマ2台がまるまる浸かれる大きさ。
一般家庭のお風呂の水で換算すると600杯分にもなるんだそうです!

さらに驚くことに、この浴液には約20種類もの薬品が含まれていて、その量や濃度は前工程からボディが持ち込んだ水や浴液の蒸発などによって常に変化し続けるとか。

「溶液の量や濃度のわずかな変化でも、薬品を投入するなどの対応が速やかにできるように、私たちの職場では38個の検査設備214個の確認項目で一つ一つ浴液の状態を確認しています。この確認を24時間、土日は勿論、連休中も行い、浴液を常にベストな状態にキープする事で、塗装の肌を美しく保っているんです!」と原田さん。

今回、取材チームも一緒に日々の確認ルートを回ってみると、とにかく施設が広い!
以前は今よりも検査機器が分散していて、確認にかなりの時間がかかっていたとか。その課題を解決すべく職場の皆さんで考え出した改善についてきかせてくれました。

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(写真左:確認項目は214個。メータの値を記録し、基準内である事を確認)

 

管理基準の中心を狙う改善

「各工程で扱う薬品類の液体をパイプで1か所に集め、確認する事を考え出しました。なかなか思うようにいかない時期もあり断念しそうにもなりましたよ。メンバー全員で試行錯誤を繰り返してきた結果出来上がったものです。」と熱く語るのは、高橋さん。

この改善で、移動によるロス時間が減り濃度測定が早く出来るようになり、浴液のわずかな変化にもすぐに対応出来るようになったそうです。

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(写真 左:集中管理を実現する前の濃度管理は大変だったとか)
(写真 右:集中管理を実現!)

 

「改善は、できたからって終わりではないところがおもしろいんです。私が仕事に対して大事にしていることは、現状に満足しない!ということ。管理基準内だからOKではなく、もっと何かできないか、もっと良くできないかと挑戦し続けることです。この気持ちを心の隅に置いておくと、日常生活の様々な場所で改善へのヒントや新たな発見があり、次の改善に繋がるんです。」

更に管理基準の中心を狙える改善をこれからも実現させ続けて欲しいですね!!

彼らの改善への挑戦はつづきます!

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(写真:色の変化も見逃さない)

 

デザインを陰から支える匠として

最後に、二人の今後の目標を聞きました。
まずは2005年に入社してこの職場に配属されるまで電着塗装のことを全く知らなかった、原田さん。

「仕事を知れば知るほど奥が深くやりがいを感じています。美しいボディを造りこむために、職場の設備の状態・浴液の状態を把握し、より安全に効率よく点検できるよう様々な工夫をしています。塗装の品質は、私たちの電着塗装職場から生まれているからだと自信をもって言えるように、これからは更に高いレベルへ、職場のみんなと一丸となって進めていきたいと思っています。」

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(写真:塗装最終工程で仕上がり具合をチェック)

続いて、電着という工程の、陰で塗装を支えているようなところに魅力を感じると話す、高橋さん。

「ボディカラーのことを知人に褒められると嬉しい。なぜかって、その色が引き立つのは、塗装の4層がそれぞれきれいに仕上がっているから!最初は、先輩たちに何とかして追いつこうと、設備や薬品のことを勉強してきました。これからは、私が後輩たちの目標とされるような、魅力的な電着塗装のスペシャリストになりたいです。」

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最後は齊藤職長も含めたお三方からのメッセージ。

「電着塗装職場は、いつまでも美しい塗装を維持する為の重要な職場です。普段お客様には目に触れない部分ですが、一切の妥協をせず、自分達の技でもって一つ一つ丁寧に確認する事で、常にベストな状態での電着塗装を維持するというこだわりを持ち、お客様に長く乗って頂ける愛されるクルマを造り続けていきます!」

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(写真:「お客様の目に触れない部分でも一切の妥協はしない」電着塗装チーム)

 

街を走る、あの鮮やかなボディカラーの下に、こんな努力と技が隠れていたんですね!
みなさんにもマツダの塗装に隠されたこだわり、伝わったでしょうか。

普段は見えないところにもこだわり求め続ける、仕事に対する志が高く、自信に満ちあふれた笑顔で答える姿が印象的でした^^
マツダのクルマ造りにはまだまだご紹介できないほどたくさんの秘密があります!
今後も潜入取材をしてきますので、次回のレポートもぜひご期待くださいね。

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