MAZDA公式ブログ
2016.7.5
【マツダの匠】感動するシートとは(後編)~女性ならではの視点を生かす

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マツダのクルマづくりに息づく伝統、思想、そして技能。それらを受け継ぐ匠の志や情熱を紹介する『マツダの匠』。今回は、シート開発を支える「シートフィーリング評価」の後編として、女性ならではの感性を生かしながら匠の技の継承に取り組む、若手エンジニアを紹介します。

 

「人間中心」のシート開発

人とクルマのインターフェイスとして重要な役割を果たすシート

クルマの開発において、シートが関わる業務分野は、デザイン・設計など多岐にわたります。

その中で、「シートフィーリング評価」という一般的には聞きなれない分野で、女性ならではの感性を発揮し活躍しているのが、芦原  友惟奈(あしはら ゆいな)。

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(写真:女性ならではの視点も取り入れながらマツダ車のシート開発を支える芦原)

芦原は、入社以来9年間、シート関連で実験の領域を担当。当初は技術開発にも携わり、マツダ車全般のシートにおけるリクライニングやリフターなど、調整機構の操作部のレイアウト調整といった開発を経験してきました。

開発当時を振り返り、こう語りました。

「競合車と似たような位置にレバーを置けばいいというのではなく、すべて人間中心で考えていくこと。
人間の身体のつくりや腕の長さといった人間工学的な観点をふまえ、何の機能を優先し、何のレバーやスイッチが人に一番近い位置にあるべきか。より本質的な問題から考えていくことに苦労しました」

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「とにかくクルマに乗ってみなさい」

 その後、全般的な技術開発から、車種ごとの特性を活かす車種開発へ。

「異動して最初に担当したのが、SKYACTIV(スカイアクティブ)技術をはじめて全面的に搭載した『CX-5』だったのは、とてもラッキーでした。開発チームとしても様々な視点でゼロから考え直す、そんなタイミングでした。細かいことは言われなくて、『とにかくクルマに乗ってみなさい』と言われました。」

まさに、「現場」で「現物』を見て「現実』を知り、「原理』にのっとって「原則』を作るという5ゲン主義を体験。そして、初めて携わったCX-5が、日本カーオブザイヤーを受賞。

「効率的に仕事が進まなかったり、自分の仕事に自信が持てない時期もあり、辛い日々もありました。でも、この受賞で報われた気がしてうれしかった」と笑います。

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先輩が課題を見つけて教えてくれるのではなく、その課題を見つけさせようとしてくれる。そんな姿勢が自分の成長につながりました」
一から十まで教わり、指示されるのではなく、考えながら物事を決めていく大切さを学んだそうです。また、芦原の成長の一つには、上司との信頼関係もあるようです。

「シートを前後に動かす耐久テストでは、現状確認・対策検証・改良検証と、約20kgのシートを1,000回ひたすら前後に動かすこと3セット。筋肉痛になりながらテストを完遂した結果、『ここまでやった芦原の意見なら、それでいこう』と上司に言ってもらえたことには感動しました」

上司や先輩があえて細かく指摘をせず、自主的に取り組んで考えさせ、気づかせる。そして部下を信頼して後押しする。そんな職場風土が、仕事のモチベーションにもなり、自分を勇気づけてくれたと芦原は語ります。

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(写真:上司との強い信頼関係が技術向上を後押しする)

 

女性ならではの視点と感性

 マツダのクルマは、仕向け地別のシート展開はしていません。全世界すべて共通のシートで、性別や体格を問わず、すべてカバーし満足いただけるシート作りが必要になります。
それだけに「シートフィーリング評価」において、女性としての存在意義を感じることも多々あるそうです。

「例えば、女性の中には運転するのが怖いと感じる方も多く、シートバックを立てる傾向があります。そんな前のめりの姿勢で運転すると、横の窮屈感が通常より増す場合があります」

芦原は、同性の友人の運転などをじっくり観察するなど、日頃からアンテナを張っているとか。
女性特有の視点だからこそ発見できる問題点を、これからも改善に活かしていきたいと意欲を語ります。

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(写真:女性特有の視点でどんな改善点も見逃さない)

 

みずからの運転技術を磨き、評価能力を上げる

 芦原さんが「シートフィーリング評価」の業務をより深めるために取り組んでいること。
それは運転技術の向上です。

マツダでは社内基準のCランクを取得すると、三次(みよし)自動車試験場のテストコースを単独で走行できるようになります。芦原が現在所持しているのはBランク。
一見、「シートフィーリング評価」と運転技術には関連性がなさそうなのですが、実は運転に集中し過ぎるとシート評価への意識が削がれてしまうとか。運転技量があれば、運転への意識を減らしてシート評価に意識を注げるため、より確かな評価ができるそう。

「運転技術の向上は、シート評価の能力に欠かせません。Aランクを目指して日々鍛錬しています」

 

乗る人に感動を与えるシート作りを

 クルマに乗りこんだ時、運転している時、クルマを駐車する時。すべての場面での快適性を保証できることがシートに求められます。それを実現する構造はどうあるべきか、どんな素材がよいか。
次世代のクルマづくりに向けて、「シートフィーリング評価」では様々な研究をしています。

「座ったときにお客様に感動を与えるシート。楽しく運転でき、車を降りても、もう一度乗りたくなるようなシートを開発したい」と力強く語る芦原。

匠の技と意気込みはしっかりと受け継がれているとともに、“走る歓び”を追求するマツダのエモーショナルなクルマづくりの息吹は、そのシートにもしっかりと生かされています。

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マツダ公式ブログでは、さまざまな分野の「匠」を紹介しています。

▲【マツダの匠】座った瞬間に「感動」するシートを。フィーリング評価を極めて(前編)
http://blog.mazda.com/archive/20160608_01.html

「マツダの匠」連載記事一覧:http://mzd.bz/takumi_blog(マツダ公式ブログ)

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カテゴリー:マツダの人