マツダ、「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づき、2030年に向けた新たな技術・商品方針を発表
マツダは本日、技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づき、2030年に向けた新たな技術・商品の開発方針を発表しました。
2050年カーボンニュートラル化への挑戦をふまえた、マツダの今後の技術・商品開発について、ブログ読者のみなさまにもご紹介をさせていただきます。ぜひ最後までご覧ください。
はじめに: 「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」とは?
マツダは、2017年に「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を発表。美しい地球と心豊かな人・社会の実現に向けて、「地球」・「社会」・「人」それぞれの領域における課題をマツダ独自の価値である「走る歓び」によって解決していくことを目指し、技術開発に取り組んできました。
地球環境を守るためには、電動化によってCO2削減が可能となる「Well-to-Wheel」の視点と、自動車の原材料調達から、製造、廃棄、リサイクルまでといった「ライフサイクル」全体でのCO2削減が必要です。
本質的なCO2削減へのアプローチ
一方で、国や地域によって、電気自動車やプラグインハイブリッド車に必要な電気を供給するための発電構成比(自然エネルギー、原子力、石炭・石油などの火力)は異なりますし、規制や自動車の使われ方もさまざまです。
そこでマツダは、内燃機関や電動化技術などパワーユニットの展開を適材適所で行う「マルチソリューション」を掲げ、本質的なCO2削減に向けて具現化を進めてきました。
1. ビルディングブロック戦略による技術資産の積み上げと、高効率なモノ造り
これらの考え方のベースにあるのが、「ビルティングブロック戦略」。
ビジョン到達のために、基盤となる技術群をブロックとして段階的に積み上げることで、優れた技術を効率的にお届けするという、マツダならではの考え方です。
クルマの基本性能となるエンジンやトランスミッション、ボディ、シャシーなどの「ベース技術(SKYACTIV技術)」を向上させた上で、電動化の基盤となる技術の開発・採用を進め、2012年のCX-5以降、6年間で9つの車種をお客さまにお届けしてまいりました。
そして、現在は内燃機関の一層の進化(SKYACTIV-X/直列6気筒)と電動化技術の拡大を継続しており、スモール商品群用の横置きパワーユニットとラージ商品群用の縦置きパワーユニットに対応した「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」をベースとして、国ごとの電源事情や環境規制、お客様のニーズに応じたマルチソリューションを展開していく計画です。
加えて、2025年以降は、さまざまな車格やボディタイプのEVモデルに適応できる、マツダ独自のEV専用プラットフォーム「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」を新たに導入する計画です。
このような戦略にもとづき、マツダは、コモンアーキテクチャー、一括企画、モデルベース開発など、高効率の開発手法にさらに磨きをかけ、協業パートナーと共に、本格的な電動化時代への技術資産を構築していきます。
「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」の商品として、ハイブリッドモデル5車種*1、プラグインハイブリッドモデル5車種、EVモデル3車種を日本、欧州、米国、中国、アセアンを中心に、2022年から2025年にかけて順次導入する予定です。
*1 マイルドハイブリッドモデルは除く。トヨタ自動車株式会社からOEM供給を受けるTHS(トヨタハイブリッドシステム)搭載車を含む。
さらに、「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」の商品として、2025年頃から2030年にかけて複数のモデルを導入する予定です。
その結果として、2030年時点での生産における電動化比率は100%、EV比率は25%を想定しています。
3.「事故のないクルマ社会」の実現に向けた「人」中心の安全技術の普及
マツダは、「安心・安全なクルマ社会」の実現に向けて、ドライバーが安全に運転できる状態を最大限に確保し、事故のリスクを最小限に抑制することを目指してきました。その安全思想「Mazda Proactive Safety」に基づき、2012年から先進安全技術「 i-ACTIVSENSE」をマツダ車に搭載しています。
安全技術のビルディングブロックにおいても、人間中心の自動運転コンセプト「Mazda Co-Pilot Concept(マツダ・コ・パイロット・コンセプト)」を新たなブロックとして積み上げ、商品展開していきます。
この「Mazda Co-Pilot」は、ドライバーの状態を常時モニタリングし、突然の体調不良を検知した際に、自動運転走行に切り替えて安全な場所に移動、停車し、緊急通報を行うもので、第1段階の「Mazda Co-pilot1.0」は2022年のラージ商品群から導入を開始する予定です。
4. 次世代の移動サービスの基盤となるコネクティッド技術、ソフトウェア技術への挑戦
マツダは、クルマを通じた体験や感動の共有化によって、「人と人」と「人と社会」 をつなげ、「走る歓び」と共に心豊かな「生きる歓び」を実感できる 新たなクルマの価値を提供することを目指しています。
今後は、次世代の移動サービス「MaaS(Mobility as a Service)」や、OTA(Over the Air)*2によるクルマの機能アップデートなどへの対応に向けて、基盤となるソフトウェア技術の開発を強化します。
*2 無線通信を経由して、ソフトウェアの更新を行うこと。
より安全で快適なコネクティッドサービスの早期提供に向けて、マツダを含む5社*3で次世代の車載通信機の技術仕様を共同で開発し、通信システムの共通化を推進します。
また車両内外の迅速な情報通信を可能にする、次世代「電気電子アーキテクチャー」(Electric Electronic Architecture:EEA) の開発を推進します。
*3 マツダ以外の4社:スズキ株式会社、株式会社SUBARU、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社。
5. カーボンニュートラル、CASE*4時代への「人」中心の開発哲学の継承
マツダがずっと大切にしてきた開発哲学は、「人間中心」という考え方です。
「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に定める「地球」、「社会」、「人」の3つの領域の中心に「人」を置き、人が持つ本来の能力と人間らしさを尊重した「人」中心の開発哲学を、この先のカーボンニュートラル時代、CASE*4時代にも継承していきます。
そして、人が持つ本来の能力を最大限に発揮することをサポートするクルマを提供することで、人間らしさにあふれたサステイナブルな社会の実現を目指してまいります。
*4 「Connected(コネクティッド)」「Autonomous(自動化)」「Shared/Services(シェアリング/サービス)」「Electric(電動化)」の頭文字を合わせた造語。
マツダは今後もコーポレートビジョンに基づき、クルマ本来の魅力である「走る歓び」にあふれたカーライフを通じて、お客さまの人生をより豊かにし、お客さまとの間に特別な絆を持ったブランドになることを目指してまいります。
これからのマツダの挑戦に、どうぞご期待ください!
■6月17日に開催した「マツダ中期技術・商品方針説明会」の模様は、こちらをご覧ください。