デンマークをお手本に、心豊かな暮らしのご提案
「人々の笑顔を作り、社会を豊かにすることに貢献したい」私たちマツダの根底にある思いです。
マツダと同じ広島を拠点に、「パンのある、心豊かな暮らし」を提案する企業があります。アンデルセングループ(広島市中区)です。
アンデルセンとマツダは、共に広島に根ざす企業として、より多くの方に広島の魅力を伝えていきたい、という共通の思いから、これまで2回にわたりコラボレーション商品をお届けしてきました。
最近では、「アンデルセン×MAZDA 広島ピースフルドライブクッキー」を発売しています。
「お手本は、いつもデンマーク」がアンデルセングループのスローガンです。
創業者がデンマークでデニッシュペストリーに感動したことをきっかけに、同国との交流を続ける中でこの思いが生まれ現在もグループ内で受け継がれています。
パンだけではなく、人の生き方や考え方、日常のあらゆるところに「幸せ」を見つけて楽しむ姿。
自立心を持ちながら、他人の意見も尊重できる国民性、家族や仲間と過ごす時間を大切にする暮らし方など、多くのことをデンマークから学んでいるそうです。
今回は 旗艦店である広島アンデルセンにお邪魔し、アンデルセングループの考える豊かさや、お手本としているデンマークについて取材させていただきました。
広島アンデルセン
目次
パンを中心とした豊かな食卓の提案
店内に入ると、ヨーロッパでベーカリーを示すマークが出迎えてくれます。
このマークは「クリングラ―」と呼ばれ、
よきベーカリーとしての心を示すものとされているそうです
同時に、焼けたパンの香りが鼻先をくすぐります。
生地に練りこんだバターの芳醇さや、クルミや穀物の香ばしさなどバラエティ豊かな香りを吸い込むだけで心が踊り、幸福感に満ちていきます。
ここまでは他のベーカリーでも似た経験ができますが、更に奥へ足を進めると「アンデルセン」の世界観が広がります。
ジャムやディップ、チーズやソーセージ、サーモンやスプラット、旬の食材を使用した総菜など。パンとの相性を考慮し厳選したアイテムが並びます。
更に食卓を彩る手助けとなる、本格的なフラワーショップ、ワインコーナー、ケーキショップまで。
アンデルセンが提案する「パンのある、心豊かな暮らし」の世界観が店全体で演出されています。
広島アンデルセンにあるアイテムを集めると自然と食卓が豊かになります
ブレッドマスターという仕事
この店内で「ブレッドマスター」として働く石川恵子(いしかわけいこ)さんにお話をききました。
接客中の石川恵子さん
ブレッドマスターは、パンに関する幅広い知識を有していることを示すアンデルセン独自の社内資格。
リクエストに合わせたパンの選択や、美味しく食べるコツ、店内にある食材とパンの組み合わせの提案など、お客様の食卓を豊かにするお手伝いをします。
石川さんが入社されたのは1994年です。
「実家の食卓によくあがっていたのもあって、もともとパンが大好き。広島アンデルセンは学生時代から襟を正してから入るようなおしゃれな印象で、ご縁があって働くことになりました」
入社からこれまでの大半を店頭に立ち、お客様と接していらっしゃいます。
「最初は勉強の毎日でした。パンだけでなく見たこともないチーズやワインについても、ひとつひとつ学んでいきました。広島アンデルセン内で働く各ジャンルのスペシャリストから学んだり、海外経験のあるお客様から教えていただくこともありましたね。知識を少しずつ積み上げていきました」
今は店頭で、お客様の様々なリクエストに対応されています。
「友人から頂いたチーズの臭みが強いから、どのようなパンがいいのか。とか、アヒージョに合うパンを教えてほしい、など様々ですね。私の経験と知識の中で応えています。男性の方がパートナーへのプレゼントとして、なにを組み合わせたらいいか、なんて質問も意外と多いですよ」
石川さんにお願いして、普段お客様にどのような提案をされているのか見せていただきました。
アンデルセンで販売しているパンに素材をのせる、デンマークのオープンサンドスタイルです。
「個人的にあまり手の込んだ事は好みでなくて(笑) 」
「いいパンにいい素材を組み合わせればそれだけで美味しい。チーズをのせたパンに相性のよい具材を重ねる。それだけで華やかに映り空間が豊かになります。ジャムやマーマレードで季節感を演出したり、ちょっとした工夫があるとまた心が躍りますよね」
「イタリアンにはこのパンでしょ、カレーはこれ。のような、型にはめたがる方が多いのですが、もっと自由にパンを楽しんでほしい。ご家庭の普段の和食にパンをあわせてみたりして、ご自身の中で美味しい組み合わせを見つけるなんて、とても楽しいことです」
広島アンデルセン店舗と石川さんの話を伺うと「パンのある豊かな暮らし」を具体的にイメージすることができました。
続いて、お手本とされている「デンマーク」についてお話をうかがいます。
デンマークという国
デンマークは世界で最も幸せな国のひとつとされています。
所得税や消費税が高い一方で、教育や医療が全て無料であることなど、高福祉であることが背景にあると言われていますが、それだけではない何かがあるのではないでしょうか。
コペンハーゲン市内イスランズブリュッゲ
実際に現地で働き、暮らしたお二人にうかがってみることにしました。
蔦原圭都(つたはらけいと)さんと、岡本知子(おかもとともこ)さんです。
左:蔦原さん 右:岡本さん
アンデルセングループは、デンマークに2店舗構えています。
日本から現地店舗へ定期的に社員を派遣し、約1年間の研修を行っています。
店舗実習と生活体験を通じて、お手本としているデンマークの食、生き方、文化や慣習などを体感して学んでもらうことが目的です。
アンデルセン イスランブリュッゲ店 |
蔦原さんはベーカーとして、岡本さんは販売員として現地で働き、最近帰国されました。デンマークの人々との交流のなかで、どのようなことを感じ取ったのでしょうか。
現地で働く蔦原さんと岡本さん
Hygge(ヒュッゲ)
デンマークには「Hygge(ヒュッゲ)」という言葉があります。
アンデルセンでは「人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地のよい雰囲気」と表現しています。
他にも様々な解釈や表現があるようですが、何気ない普段の生活の端々で感じる、「幸せ」を大事にする気質が言語化された所以と言えそうです。
蔦原さん
「表現が本当に難しいのですが、デンマークの方々は『楽しむ』ことが、とても自然体ですね」
「例えばお花見ですが、日本だと実施日時に参加者が予定をあわせて、場所取りをして。お酒と弁当もきっちり準備して…となるじゃないですか。
デンマークだと仕事の帰り道で『お、今日は花が綺麗だね。この下で軽く食べながら話でもしようか』という感覚で思い立ってすぐ実行。
どちらも良いところはあると思います。非日常を楽しむのか、楽しむことが日常なのかの違いというか…」
岡本さん
「特に夏はその傾向が強いです。デンマークの日没時間が冬は16時半頃で、夏は22時頃。日本では考えられないくらい陽の光を欲しますよね(笑)。その時その時一緒にいる仲間と思い立ったらピクニックという感じです」
蔦原さん
「街のいたるところに、ちょっと座って団欒できるスペースやベンチがあります。その近くに必ずゴミ箱もあるので、テイクアウトした食事を楽しみやすい。このような街づくりも大きいと思います」
街のいたるところで座ってゆっくり団欒を楽しむ
職場の意識、同僚やお客様との関係性
蔦原さん
「時間内にきっちり終わらせるという意識がとても高く、効率的で質の高い仕事を心がけていますね。高福祉であることも一因ですが、残業の収入増より自分の時間を大切にしますね。」
「残業しなくてもよいような環境を作る意識も高いです。例えばマニュアルなどは圧倒的に少ない。作成に時間を消費するうえ、実際の6割くらいしか伝わらない。結局、口頭で教えて二度手間になる。業務自体が変化したら、マニュアルの修正で更に手間をとる。だったら最初から直接教えたほうが早いし、勘所も伝わり応用もきくようになり効率的と考えるようです」
「あと、リーダーシップとチームワークが強いですね。色々焦っているときにリーダーが『圭都、私がいるから。落ち着いて安心して。焦る必要はないぞ』と声をかけてもらったのが印象的でした。ここまで言い切ってもらったのは初めての経験。リーダーの心の大きさ、コミュニケーション力は、帰国後も手本にしたいと思いました」
ベーカーのチーム
強いリーダーシップとチームワークで楽しみながらハードな仕事こなす
岡本さん
「自立心の高さも感じますね。日本でいう『察する』という習慣がありません。自分の意見をはっきり伝えないと怒られます」
「お客様と店員の関係性もフェアです。『このパン柔らかすぎない?』と言われることがあっても、その狙いと背景などをお伝えすると『そうゆうこと』という感じで、主張をしたうえで、お互いの意見を尊重していることが印象的でした」
お客様と折り鶴を通じて交流 フェアな関係性を重視している
「どちらかが謝る、折れるということではなく、相互理解です。意見が対立することもあるけど、その後はお互いにすっきり。とても合理的ですし、遺恨が残ることはありません」
職場でのクリスマスパーティ
デンマークの「豊かさ」とは
デンマークの人たちを、Hyggeという言葉を使わないで表現してみてください。
と、少し意地悪な質問をしてみました。お二人は少し困りながらも答えてくださいました。
岡本さん
「Hyggeと多少重複してしまいますが、人、暮らし、考え方がすべて温かい。幸せを共有するところがとても気に入っています」
蔦原さん
「『童心』ですかね。日本には、『年甲斐もなく』なんて言葉がありますが、デンマークでそれはないですね。」
「その場所、その時間、そこに一緒にいる人で楽しむという意識がとても強い。仕事もプライベートも『楽しみ上手』ですよね。仕事も自分の大切な人生の一部ととらえて、楽しむことを意識しています」
岡本さん
「『童心』は確かにありますね。世界で2番目に古いテーマパークと言われているチボリ公園で遊ぶとき、大人も子どもも同じように楽しみます」
「デンマーク発のブロック玩具名の語源である『leg godt』はデンマーク語で『よく遊べ』の意味です。大人になっても遊ぶことの大切さを忘れていない証左なのかもしれません」
チボリ公園 大人も遊び心を持ち続ける
「この写真は、同僚宅のパーティにお邪魔したときの食卓です」
「豪華な食材があるわけではないのに、華やかですよね。ゆで卵を切ってハーブなどを載せたり、小エビ、レモン、きゅうりをセンス良く盛り付けたり。これを肩肘張らずに人を招いてもてなせるのがデンマーク人のすごいところなのだと思います。」
蔦原さん
「自慢とか、はやりとかが、少ないです。それよりも昔から大切にしているものを大事にする。自分が楽しいことをする。その楽しさを共有するという意識が強くて素敵だなと思います。できたら永住したいくらいです(笑)」
話をうかがうほど、デンマークの魅力が伝わってきます。
本や勉強だけでは理解できないことを体感させる現地研修を、継続して実施しているアンデルセングループの方針はとても大切なものであると感じました。
本当の「豊かさ」とはなんなのか、考えさせられます。
最後に、アンデルセングループ創業者のご子息でアンデルセン・パン生活文化研究所代表取締役社長を務めた髙木誠一氏が社員にあてたメッセージの一部を紹介します。
髙木誠一氏の想いは十分に伝わっているように感じました。
アンデルセングループでは、石川さん、蔦原さん、岡本さんのようにパンとデンマークの豊かさを愛する社員が、今後もお客様に「パンのある、心豊かな暮らしの提案」をし続けていきます。
今回の取材を通じてアンデルセングループが「お手本は、いつもデンマーク」をスローガンとしている背景がとても伝わりました。
取材させていただいた3名とも、取材し始めは少しかたい表情だったのですが、パンのこと、デンマークのことを語り始めるとどんどん笑顔になっていくのが印象的でした。
ほんとに好きなのだな、とこちらも幸せな気分になることができました。
私たちも改めて、自動車を通じて、人々の笑顔を作り、社会を豊かにすることに貢献していきたいと思いを強めました。
マツダはアンデルセングループの皆さんのように、前向きに今日を生きる人や企業を今後も取材してまいります。
マツダは広島に根付いた企業として、広島の良さを知ってもらいたいという願いをもち、広島企業とのコラボレーション「広島つながリンク」を始めました。
アンデルセン×MAZDA広島ピースフルドライブクッキー
https://www.andersen-net.jp/shop/g/g319410/
広島つながリンクに関するニュースリリース
https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2023/202304/230412a.html
過去投稿した「ReSeed農園」と「にしき堂」もぜひご覧ください。
にしき堂:平和を願い、広島菓子文化を育てるための「百試千改」
https://blog.mazda.com/archive/20230707_01.html
ReSeed農園:ピーナッツで結ぶ絆 地域課題への挑戦
https://blog.mazda.com/archive/20230427_01.html