MAZDA BLOG
2018.3.22

マツダの衝突安全性能〜3列目の安全を確保せよ〜(後編)

 

マツダがお客様にお届けする「走る歓び」を支える最高レベル*の衝突安全性能。
後編では「マツダCX-8」の3列目の安全を確保する後突安全性能開発をご紹介します!

 

前編「マツダの衝突安全性能に込めた想いとは」⇒https://blog.mazda.com/archive/20180315_01.html

 

3列シートを持つ
新型クロスオーバーSUV「マツダCX-8」

マツダが2017年12月に満を持して発売した「マツダ CX-8」。皆さまはもうご試乗いただけたでしょうか?

(写真左:マツダCX-8( マシーングレープレミアムメタリック)、写真右:CX-8のインテリア(ピュアホワイト))

 

広い室内に最大7人まで乗車可能なCX-8ですが、多人数が乗れる分、安全性が気になりますよね?

「CX-8にも最高レベル*の衝突安全性能を実現したSKYACTIV-BODYが採用されています。3列目シートの安全を確保する工夫もしているんですよ」と語るのは、衝突性能開発部の桝浦 剛(ますうら つよし)。

CX-8の後突安全性能開発を行ったマツダのエンジニアです。

(写真:CX-8の衝突試験前にシートの位置を確認する桝浦)

 

パッシブセーフティ(衝突安全)では、日常使いにおける事故での乗員の被害軽減をめざして、「全てのお客様に安心してご乗車いただけるクルマ造り」を行っています。

 

開発現場での衝突安全性に関する品質のつくりこみ

衝突開発では、試作車をつくる前に、最新のCAE※技術を駆使して色々な速度域や衝突形態のシミュレーションを繰り返しながら車両の仕様を検討します。この時、車体骨格の強度設計に加え、乗員の衝突過程での挙動解析も行い、エアバッグを含む内装品の仕様検討も行っています。

(写真:CAEによるCX-8の後突シミュレーション事例)
※コンピュータ技術を活用して製品の設計、製造や工程設計の机上検討を行うこと。

 

CAE検証を繰り返し最終構造を決めた後は、いよいよ試作車を製作し、衝突試験です!

実車衝突試験はやり直しができず、失敗すれば重大な手戻りとなるため、試験前は構造やパーツの取り付け方が設計図どおりになっているか、計測器が正しく作動するかなど毎回入念にチェックします。

(写真:実車試験前の点検風景。部品組付け状況の細かい部分にまでチェック)

 

(写真: CX-8の衝突性能を説明する主幹の豊原)

 

追突(後突)事故に関しては、日本の保安基準では時速50kmでの衝突安全性を規定しています。一方、日本市場においては、追突事故の99%が時速70km以下の速度域で発生しているというデータがあります。

これらを踏まえ、マツダでは、日本市場の事故実態に即した速度域での衝突において、しっかり生存空間を確保できる車体強度を造り込むことを後突性能の目標に定めています。

(図:日本の追突事故実態。99%は危険認知速度70km以下で発生している。)

 

「追突時の安全を確保するには車体後部のクラッシャブルゾーン(衝撃を吸収するゾーン)で、効率的にエネルギーを吸収できる構造の開発が必要でした」と豊原は続けます。

 

追突時のエネルギーを吸収する十字断面構造

CX-8の車体の前端および後端には効率良く衝突エネルギーを吸収するための、クラッシュボックスと呼ばれる部材が設けられています。マツダの従来車の断面構造は四角い形をしていますが、2011年11月以降に生産された新世代商品のSKYACTIV-BODYのクラッシュボックスは十字型になっているのが特徴。

 


(写真図:CX-8の車体の前端および後端に取り付けられているクラッシュボックス)

 

「衝突エネルギーは主に物体の稜線(角)を通って伝わる特性を持っています。稜線の数が増えれば同じ部材でもより多くのエネルギーを吸収することが可能になりますので、12本の稜線を持つ十字型が採用されています」と桝浦。

 

衝突エネルギーを効率よく分散させる二股構造

さらにCX-8には、客室に伝わる衝撃を分散させるマルチロードパス構造も採用されています。(マルチロードパス構造については前編をご覧ください)

「車体後部ではフロアの下に左右1本ずつのストレートフレームを配し、衝撃を吸収しています。さらにCピラーの下部で二股に荷重を分散させることによって、フレームの上方への変形を抑制し、乗員の生存空間を確保しています」と桝浦。

 


(図:CX-8後部のマルチロードパス構造図。ストレートなフレームで受けた衝撃が二股構造を通して上下に分散しています。)

 

衝突安全性能開発は、エンジニアたちの知識と経験、知恵と創意工夫でお客様に確かな安全性能をお届けしたいという熱い想いとともに進められているのです。

 

(図:CX-8の追突後の車体変形状況。クラッシャブルゾーンが潰れ、生存空間がしっかり確保されていることがわかる。)

 

全ての安全性能はお客様の「走る歓び」のために

最後に、これからのマツダ車に求められる安全性能について二人に尋ねました。

 

「お客様にマツダ車の『走る歓び』を体感していただくためには、クルマが安全であることが大前提です。近年、自動ブレーキや先進安全装備で、市場での死亡重傷事故は減少してきている現実もあります。『走る歓び』の重要な要素であるデザインや軽量化技術等を高めつつ、更に高い次元の衝突安全性能を追求し商品に織込むことで、将来的に交通事故による死傷者ゼロ社会の実現に向けて、情熱をもって取り組んでいきます」と豊原と桝浦は口を揃えました。

 

 

万一の事故から一人でも多くのお客様を救うために。そして全てのお客様にマツダの「走る歓び」を感じていただくために、二人の衝突安全性能を極める旅は続きます。

 

*JNCAP自動車アセスメントの衝突安全性能評価で、試験を実施したすべての新世代商品(デミオ、アクセラ、アテンザ、CX-3、CX-5)が、最高評価であるファイブスター賞を獲得しています。

カテゴリー:クルマ