マツダの衝突安全性能に込めた想いとは(前編)
マツダが目指す「走る歓び」を支える、さまざまな安全技術。
中でも今回は、事故が起きてしまった時に乗員や歩行者を保護する、マツダの衝突安全性能開発をご紹介します!
「マツダの安全は、自動ブレーキだけでは終わらない」のフレーズで知られる、「MAZDA PROACTIVE SAFETY」。
危険な状況に陥ってから対処するのではなく、危険自体を回避する」との考え方に基づき、ドライバーの認知・判断・操作をサポートすることで、事故のリスクを最小化する。万が一のドライバーのミスにも対応できるように、事故被害を防止・軽減することをサポートする。
これが、マツダ独自の安全思想です。
(図:プロアクティブセーフティの考え方。ドライバーが安全状態で運転できる環境領域、自動ブレーキ等のアクティブセーフティ領域、衝突安全のパッシブセーフティ領域をピラミッド構成で考え、トータルでの事故被害の低減を図る。)
■「MAZDA PROACTIVE SAFETY」:マツダが目指す安全性能の考え方
https://www.mazda.co.jp/beadriver/safety/proactivesafety/
事故のリスクを最小化するための3つの技術
マツダでは、お客様が通常クルマを使用している状態から事故に至るまでを3段階に分けて、それぞれの段階に応じた安全技術を追求しています。
1つ目は、良好な運転環境(視界視認性、操作性)と優れた操縦安定性で安全運転をサポートするための技術。
2つ目は、i-ACTIVSENSEに代表される、車線逸脱警報や自動ブレーキなどの「アクティブセーフティ技術」。
リスクが迫っている状態の時には、ドライバーに危険を気づかせ、危険回避能力や安全運転をサポートします。また、万が一避けられない事故が発生した時には、事故の被害を軽減します。
3つ目はSKYACTIV-BODYに代表される「パッシブセーフティ技術」。
シートベルトやエアバッグなど、事故が発生した際に乗員や歩行者を保護する技術で、衝突安全性能もこの領域に含まれます。
良好な運転環境をサポートし、リスクが迫った際、ドライバーに危険を知らせることで事故を予防し、事故発生時にも被害を最小限に抑える。これらの技術で、マツダ車の安心・安全は造られているんですね。
今回はパッシブセーフティ技術のうち、SKYACTIV-BODYをご紹介。
最高レベル*の衝突安全性能を実現した
「SKYACTIV-BODY」
「SKYACTIV-BODY」は、2012年に発売された「CX-5」以降の商品群に採用されているSKYACTIV技術群の一つです。2017年12月に発売が開始された「CX-8」にも、もちろん採用されています。
(図:SKYACTIV-BODYの骨格)
「マツダの衝突安全性能は、より高いレベルを目指して開発を進めています。それを実現した肝がSKYACTIV-BODYです」と語るのは、前後左右からの衝突安全性能開発全般を担当する豊原 和也(とよはら かずや)。
豊原と共に衝突安全性能開発に携わってきた桝浦 剛(ますうら つよし)によれば、「衝突安全性能の面で見るとSKYACTIV-BODYには、①構造と、②材料に大きな特徴がある」とのこと。
(写真左:CX-8開発で、前後左右からの衝突安全性能開発全般を担当する主幹の豊原)
(写真右:衝突安全性能の中でも後突性能開発を専門に行っている桝浦)
ここからはSKYACTIV-BODYの特徴を見ていきます。
特徴①:衝突時の荷重を分散させるマルチロードパス構造
「SKYACTIV-BODYは衝突時に発生する衝撃を複数の経路(パス)に分散させることで効率よく吸収するマルチロードパス構造になっています。
マルチロードパスとは、前面衝突を例にあげると、前方からの衝撃をメイン、アッパー、ロアという3つのロードパスへ分散させる構造のこと。もちろん側面や後方からの衝突に対しても同様に衝撃を分散させる構造となっています」と豊原。
(図:マルチロードパス構造の構造図。前面で受けた衝撃を上・中・下3本のロードパスに分散していることがわかる)
特徴②:強度に優れた高張力鋼板の使用率をアップ
「高張力鋼板は同じ板厚の一般的な鋼板と比較して3~7倍の高い強度を持っており、部品質量を軽減しつつ、優れた安全性能の実現に貢献しています。SKACTIV- BODYには多くの箇所にこの高張力鋼板が採用されています。特に前後のバンパービームには超~高強度な1800MPa級の熱間プレス材を採用しています」と桝浦。
このように部品の構造や材質が吟味されたSKYACTIV-BODYによって、衝撃をしっかり吸収できるんですね。
安全性能のさらなる高みを目指して
しかし、豊原によると「実はこれ以外にも、衝突に関わる部品形状や構造一つ一つに、衝突安全性能を考慮した設計が施されている」とのこと。
そう!安全性能を高めるためには、なんと部品一つ一つ衝突安全性能面から見てふさわしいのか、シミュレーションを繰り返しながらチェックする必要があるのです!
(写真:コンピュータによる衝突シミュレーションを繰り返しながら衝突安全性能開発は進められる)
さらに豊原によると「1つ1つの部品には衝突安全性能だけではなく、操縦安定性や静粛性など様々な性能の要件を満足させることが必要」とのこと。
各性能領域が定めた機能を満たしつつ、自分たちの衝突安全性能も高める設計を追求するという、気が遠くなりそうなこの旅…。
マツダの安全性能は、さらなる高みを目指し続けています。
さて、CX-8においては「3列目」という課題があります。後編では、マツダの国内における新たなフラッグシップSUV、「マツダCX-8」の3列目の安全を守る後突安全性能について、豊原と桝浦の深い話を取り上げます。
*JNCAP自動車アセスメントの衝突安全性能評価で、試験を実施したすべての新世代商品(デミオ、アクセラ、アテンザ、CX-3、CX-5)が、最高評価であるファイブスター賞を獲得しています。
後編はこちらからご覧ください。