【インタビュー】デミオ特別仕様車「Mist Maroon」カラーデザイナーが込めた想いとは?
マツダが2018年8月30日に発売した、デミオの特別仕様車「Mist Maroon」(以下、ミストマルーン)。
色と素材のコーディネーションにこだわり、深みのあるディープレッドの生地にブルーグレーステッチのアクセントを施したシート。
肌触りの良いグランリュクス®(スエード調人工皮革)。
これらを採用し、上質さの中にもコンパクトカーらしい遊び心で満たされた空間を演出しています。
そのデザインに携わった、カラー&トリムのデザイナー 松本あいら(まつもと あいら)が込めた想い、こだわりを語ります。
色の組み合わせだけでなく世界観から考え始める
「デミオはラインナップの中でも特に遊び心の表現を大切にし続けているクルマだと思っています。今回はその遊び心ある表現と、コンパクトカーのイメージを超える上質さの両立を目指しています。まずはこのクルマの持つ世界観と、そこに共感して頂けるお客様のイメージから考えを膨らませて、実際のカラーコーディネーションに落とし込んでいきました。」
「クルマに乗り込んだ時の気持ちとしては、しっとりとした霧のような雰囲気に包まれているような感覚。深みもあるけれど軽やかな印象です。落ち着きの中に、キリッとした冷感のアクセントが効いた空間表現を狙いました。」
「硬質感のあるカチッとしたアイテムと、さりげない色使いや、やわらかな質感の対比を感じさせるイメージからコーディネーションを考えました。『マニッシュ』というファッション用語がありますが、それに近いかもしれませんね。ダークシルバーの金属表現に、柔らかく立体感のあるシートと個性的な色の組み合わせによって、これを表現しています。エクステリアとしては、マシーングレープレミアムメタリックが特におすすめしたいボディーカラーです。若いユーザーの方へ向けて、落ち着きのあるしっとりとした雰囲気の特別なデミオを提案しました。」
暖色に対して寒色を組み合わせた意外性
「しっとりとした肌触りのグランリュクス®(スエード調人工皮革)は、ディープレッドの色味によって上質さと落ち着いた空間を際立ててくれます。そこに意外性のあるものを組み合わせることで、遊び心を表現したいと思いました。最終的に選んだのはクールなブルーグレーの糸です。深く温かみのある素材に組み合わせることで、よりモダンで軽やかな印象に仕上げることが出来たと思います。『ミストマルーン』というネーミングの『ミスト』はしっとりとした冷たい空気のイメージ、『マルーン』は赤味の茶の色名で、ネーミングの中にも寒色と暖色が含まれています。」
「シートのキルティング部分は、どのように仕立てていくか試行錯誤をしながら考えていきました。生地と糸の色を合わせる。ちょっとだけ明るいブラウンで縫ってみる。実際に縫ってみると、想像していたものと違う印象になるんです。キルティング部分は糸の割合が多くなるので、ディープレッドとのバランスが変わります。ブルーグレーを縫ってみると、狙いからずれていることが分かりました。」
「そこで糸の色を深いブルーにしました。すると暗い色味のステッチにより、キルティングの立体感や、深く縫いこまれている仕立ての良さ、奥からブルーがにじみ出るミステリアスな表情を表現することができました。」
人それぞれ、求めるものもライフスタイルも異なる。よりリアルに想像しながら、その人が求めていることを考えていく
「自分がハッキリ思い浮かべられる人に向けて、今回の特別仕様車を考えました。もちろん、私が好きだからという個人の好みの域ではデザインは成立しないと思っています。自分に近い感覚を持っている人や、すぐ隣にいる人はどんなところに共感するのか、そこからクルマとしてどのように表現すればよいか。それが相手に伝わるためには、リアリティが大切だと考えています。」
「ディープレッドのシートは光や影の具合で表情が大きく変わるので、ぜひ実際に見ていただきたいですね。ご覧になったお客さまがこれを好きだと直感で感じ取っていただけたら、つくり手としてとても嬉しいです。上質でしっとりとした雰囲気や遊び心ある色使い。じっくりじわじわとその魅力を実感してもらえたらと思います。」
■デミオ特別仕様車「Mist Maroon(ミストマルーン)」
URL: http://www.mazda.co.jp/cars/demio/special-vehicles/mist-maroon/