MAZDA BLOG
2022.12.16

「匠塗TAKUMINURI」10周年! 新色「アーティザンレッドプレミアムメタリック」の秘密に迫る

マツダの「匠塗TAKUMINURI」は、2012年にアテンザから採用された「ソウルレッド」から始まり、今年で10周年を迎えました。

 

アテンザ(2012)

 

「匠塗TAKUMINURI」は、熟練職人が手塗りしたような精緻で高品質な塗装を、量産ラインで実現するマツダ独自の塗装技術です。

「カラーも造形の一部」という考えのもと、魂動デザインの躍動的な立体造形を際立たせる色として生み出されました。

マツダ車では、赤が人気色になるなど多くのお客さまにご好評をいただき、グレーや白といった他の色にも挑戦。
匠塗のバリエーションを広げてきました。

 

 

このブログでは、「匠塗TAKUMINURI」に込めた思いと、今秋公開された匠塗の新色「アーティザンレッド」について、担当者の言葉を通してご紹介します。

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カラーデザイン: 岡本 圭一(おかもと けいいち)

 

デザイン・岡本(以下、岡本)「マツダは十数年前、お客さまとの特別な絆をもつブランドになることを目指し、ブランド価値経営に取り組みはじめました。

ブランド価値を生み出すデザインを実現するためは、強烈な個性を持ったデザインテーマと、一貫性と継続性を持たせたデザイン戦略が必要と考え、そのテーマを具現化したのが魂動デザインでした。

 

 

私たちは『カラーも造形の一部』と捉え、マツダを代表するカラーとして、ソウルレッドを開発しました。

陰影感を重視した新しい質感表現にこだわり、魂動デザインの躍動的な立体造形をカラーで際立たせたい、という思いで色開発に臨んでいます」

 

塗装技術: 河瀬 英一(かわせ えいいち)

 

塗装技術・河瀬(以下、河瀬)「カラーデザインの思いを実現すべく、生み出したのが『匠塗TAKUMINURI 』というマツダ独自の塗装技術です。

塗装職人が丁寧に手塗りしたような美しい塗装を、量産ラインで実現しています。

 

 

一般的にクルマの塗装は、何層も塗り重ねるほど美しい色になりますが、塗り重ねることはそれだけ環境への負荷を増やすことにもつながります。

匠塗はすべて三層のみで構成されており、美しさと環境へのやさしさを両立しています。

それを実現できたのは、環境負荷を低減するためにマツダ独自の塗装技術を地道に積み上げてきたからこそです」

 

岡本「アーティザンレッドプレミアムメタリックは、匠塗第1弾のソウルレッド誕生から10年の節目を迎えるにあたり、匠塗の進化の集大成として、マツダを象徴するカラーの一つである赤の世界観の幅を拡げる目的で開発しました。

 

 

『アーティザンレッド』とは、『熟練した職人によって創り上げられた赤』という意味です。

我々デザイナーやエンジニア等の色の匠達が生みだした特別な赤として、さらに上質で成熟した、大人の世界観を表現しました。

 

 

デザインイメージは『最高峰の職人技で生み出される熟成されたワインのような赤』。

光の当たる部分は、ワインのような、きめが細かく透明感の高い鮮やかな赤に光りながら、影になる部分にかけて、深く濃く変化するようなイメージを追求しています」

 

 

河瀬「技術的には『透明感の高い赤』と『深み』を両立させるために、ソウルレッドを上回る、さらなるブレークスルーが必要でした。
アーティザンレッドでは、光の吸収と反射の精度をさらに磨き上げています。

反射・吸収層には、ソウルレッドクリスタルで用いた”人が最も赤く感じる高彩度顔料”と、マシーングレーで用いた漆黒顔料の改良版を投入。

これらの顔料の進化は、塗料メーカーさんや原料メーカーさんとの継続的な共創があったからこそ実現できました。

この漆黒顔料と光吸収フレークが反射光以外を徹底して吸収することで、より深い陰影感を演出しています。

 

ソウルレッドクリスタルメタリックの透過層では、
人間が最も赤く感じる波長=ナノサイズの高彩度顔料を開発し採用。
顔料はナノレベルまで小さくすると、よりピュアな光を放つ。

 

また、匠塗で継続的に進化させてきた『アルミを並べる技術』を惜しみなく活用し、光がきちんと反射するようアルミの平行度を高めることで、高彩度顔料の鮮やかさをさらに引き出しています」

 

ロジウムホワイトの「アルミを並べる技術」
「絹のような白さ」と「金属の輝き」の2つの特性を両立するため、発色層の上に一層だけアルミを並べ、その下にある発色層の表面を真っ平にすることでアルミの平行度を高めた。
「白さ」と「金属の輝き」の両立にはアルミ同士の間隔が重要で、開発時には、どのくらいの間隔が最良なのか、顕微鏡でアルミの数をひたすら数えたと言う。
こうした技術進化がアーティザンレッドにつながっている。

 

河瀬「今までの匠塗カラーのどれが欠けても、このアーティザンレッドは実現しなかったと思います。

また、マツダ社内だけではなく、サプライヤーさんとも想いを同じく共創することができたからこそ、匠塗は進化し続けることができていると強く感じます」

 

 

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マツダは、今後も「カラーも造形の一部」という思想のもと、環境負荷低減と、新しいカラー表現やそれを実現する塗装技術の両立を追求し、製品の魅力を高めることで、お客様と特別な絆を持つブランドを目指していきます。

 

 

■アーティザンレッドプレミアムメタリックを国内初採用したMAZDA6のご紹介

アテンザ登場から20周年を記念して、MAZDA6特別仕様車を発売します!(マツダ公式ブログ)

 

■匠塗の関連リンク

【ソウルレッド】エンジニアが語る「量産化」への挑戦(マツダ公式ブログ)

交差する匠の技 ~マシーングレー開発秘話~(マツダオフィシャルサイト)

色のエキスパートたちが挑んだソウルレッドクリスタル ~CX-5開発の舞台裏~(マツダ公式ブログ)

「匠塗」の新色「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」を開発(マツダ公式ブログ)

 

カテゴリー:デザイン , ストーリー