MAZDA BLOG
2018.8.28

東日本大震災被災児童自立支援プロジェクト「サポート・アワー・キッズ」2018年フランスステイ

東日本大震災により被災した子どもたちの自立支援と東北の復興を担うリーダーの育成を目的とし、海外ホームステイや駐日大使館内での異文化交流などに取り組むSupport Our Kids」 プロジェクト

「ル・マン24時間レースという過酷な戦いに挑戦し続ける人々や現地に住む方々との出会いや交流を通じて、子どもたちがそれぞれ目標を見つけ挑戦してほしい。」

その想いから始まったマツダの支援プログラムも、今年で6回目を迎えました。

 

東日本大震災被災児童自立支援プロジェクト「サポート・アワー・キッズ」2018年フランスステイ

 

今年は、6月9日から20日の12日間の日程で実施。

NPO法人「次代の創造工房」(代表:寺田陽次郎)が公募し、面接などを経て選ばれた福島・宮城・岩手各県在住の9名の中高生が、このツアーに参加しました。

 

今回のフランスステイは、24時間レースが開催されるル・マン市および近郊のシャエーニュという小さな村に滞在します。

 

親元を離れ、海外という非日常の世界に自分の身を置き、

「将来に役立つ経験をしたい」

「これまでの自分を変えたい」

「自分の殻を破ってチャレンジしたい」

という強い想いをもった子どもたち。それぞれ夢と期待に胸を膨らませて、フランスに向けて旅立ちました。

 

東日本大震災被災児童自立支援プロジェクト「サポート・アワー・キッズ」2018年フランスステイ

 

シャエーニュ村に着いた子どもたち。まず、村の中心にある「シェ・ミトン」というレストランで、フランス式テーブルマナーの講習を受けました。地域では老舗として知られるこのレストランでは、松本尚子さんという日本人女性が、ご主人と共に切り盛りしています。

 

参加者のひとり堀内咲良さん(高2)は、

「初めての体験でしたが、そのマナーの意味やルールを守ることの意義を理解することができました」

と語っていました。

 

 

ここから、彼らのフランスにおけるチャレンジがスタートしました。

 

 

翌日からは、村の公民館でみっちりフランス語の基礎講座を受け、村の皆さんとの交流を図っていきます。

地域の商店を尋ねて初めてフランス語で買い物をしたり、保育所の幼児たちと一緒にランチを食べ、日本語の童謡を歌ったりしました。

また、参加者と同年代の学生たちが待つ中学校を訪問し、折り紙を一緒に折り、日本茶の美味しい飲み方を伝えるなど日本文化を紹介。

 

また、東日本大震災についてのプレゼンーションでは、自分たちの故郷が受けた自然の脅威や復興の現状を、フランスの皆さんに伝えました。

 

中でも、戸田莉音さん(高2)による、

「震災時に発生した津波被害が甚大だった岩手県洋野町は、日頃の避難訓練や高い防災意識のおかげで、死傷者がゼロでした」

という話は、学生や先生たちの心にもしっかり響いた様子でした。

 

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優しく迎えてくれたシャエーニュ村のホストファミリーとの別れを惜しみながら、一行は約50km離れたル・マン市に向かいました。

 

東日本大震災被災児童自立支援プロジェクト「サポート・アワー・キッズ」2018年フランスステイ

 

次に一行が向かった先は、「アランプロスト・カートサーキット」。フランスステイのプログラム提案者の寺田陽次郎さんと、マツダ常務執行役員の廣瀬一郎が現地で皆さんを迎えます。

ここでは、全員で四輪車両の運転を体験。また、寺田さんの助手席に座り、プロドライバーの走りを垣間見る機会もありました。

 

廣瀬からは、

「皆さん、初めての運転はワクワクしたことでしょう。マツダが使っている『Be a driver.』という言葉には、『自分の人生は自分で決めたい』という意味も込められています。物怖じしたりチャレンジすることを諦めようと考えたり、そんな気持ちになった時には『Be a driver.』の心を思い出して前に進んでいただけたらと思います」

とメッセージ。

 

子どもたちも運転を通じて、感情の高まりやチャレンジする楽しさを、肌で感じたようでした。

この運転体験も、今後の人生に何かしら影響を残すことができればと思います。

 

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その後、一行は旧市街美観地区や聖堂などの文化遺産を見学。

ル・マン市中心部のジャコバンプロムナードでは、24時間レース参加ドライバーのパレードに声を枯らし、高揚するお祭りムードを体感します。

 

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そして、ル・マン24時間レース決勝スタートの、6月16日を迎えました。

レースのスターターは、トップテニスプレーヤーのラファエル・ナダル氏。合図のフランス国旗を振り下ろすと同時に、60台のルマンカーが一斉にスロットルを全開、グランドスタンドには、轟音が響き渡ります。

初めて自動車レースを見る子供たちは、眼前のスペクタクルに目を丸くしていました。

 

一夜明けた、17日。日本車として唯一エントリーしている「トヨタTS050」が、ワンツー体制でレースをリード。

子供たちは、ショップでの買い物やサンドイッチを頰ばっている間も、レースの行方が気になる様子です。

 

そして、午後3時。ランデブー体制となった2台の「トヨタTS050」が先頭でチェッカーフラッグを受け、日本車によるル・マン優勝が達成されました。

これは1991年にマツダが達成して以来となる、実に27年ぶりの日本車による優勝です。

 

レース前には「トヨタTS050」のトヨタGAZOOレーシングを訪ねていた子どもたちも、この勝利に大喜び。

そして表彰式、割れんばかりの歓声が鳴り響いていた場内が一瞬静まり、荘厳な日本国歌が演奏されたときは、直立不動で聞き入っていた彼らも特別な感情が湧いたのではないでしょうか。

 

今野大智さん(高1)は、

「ルマン24時間レースをこの目で見ることを楽しみにしてきました。今回はマツダさんやトヨタさんのおかげで、レースの裏側までものぞかせていただき、優勝の場面に立ち会えた感激はひとしおでした」

と、その感動を語ってくれました。

 

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24時間レース翌日、フェアウェルパーティーが開かれ、シャエーニュ村の人々やホストファミリーの皆さんをご招待しました。

感謝の気持ちを込めて、習ったフランス語の歌を合唱。

 

「いつかまたフランスに戻って村のファミリーに会いに来たい」

「あまり社交的ではなかった私ですが、地元中学校の生徒さん達と交流することで積極的になれました」

「食べ物の食べず嫌いが多かったのですが、美味しい料理をいただき苦手意識が薄れました。これからは何事にも先入観を持たずチャレンジしていきたい」

と、参加した子供たちはステイの思い出を語ります。

 

この経験を通じて、それぞれ何かを得ることができたようです。

 

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日本に帰国し、20日に東京・北区の東京国際フランス学園での解散式に集まった一行。

ローラン・ピック駐日フランス大使の前で、それぞれの体験談を発表しました。

 

ピック大使からは

「私が駐日大使になってちょうど一年です。大使になってすぐに、皆さんの先輩となる昨年のSOK参加者の皆さんと同じこの解散式でお会いしました。そのこともあり、私が最初に視察で訪問したのは福島県でした。その後もこの一年で東北地区には3回ほど足を運び、復興への道筋を聞いて、見て大変な努力をされていることを実感しました今日、皆さんからお聞きしたフランスでの体験は、とても素晴らしいものばかりなのでフランス人として誇りに思います。今回経験されたことを糧に、今後皆さんがフランスという国に対して、より興味を持ってもらい、日仏友好の更なる発展と継続の力になってもらえること事を期待します」

とお話しいただきました。

 

大使とともに記念撮影。それぞれ自信に溢れ、キラキラと輝いて見えます。

 

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それぞれの想いを胸に、故郷への帰路についた皆さん。

またいつか、一回りも二回りも成長した姿を見せてくれることと思います!!

 

 

■今回のプログラムは、こちらの動画でも紹介しています。(YouTube)

シャエーニュでの体験、サーキットでの運転やル・マン24時間レースの観戦など、今回のプログラムの様子をご覧いただけます。

 

■Support Our Kidsについて詳細は、こちらをご覧ください。(公式ホームページ)

http://support-our-kids.org/

カテゴリー:イベント