宮島弥山大聖院「消えずの火」プロジェクト~1000年先の平和と希望の未来を願って~
宮島弥山で灯り続ける「消えずの火」
マツダ本社があり、マツダの歴史の原点ともなる広島には、世界遺産に登録され、日本三景の一つでもある「宮島」があります。
宮島の最高峰の山である「弥山(みせん)」を登ると、美しい瀬戸内海の島々が一望でき、宮島の人気スポットのひとつとして親しまれています。
その弥山の頂上近くの大聖院霊火堂にある「消えずの火」をご存知でしょうか?
この「消えずの火」の始まりは、真言宗を開いた弘法大師・空海が修行の際に使われたとされており、1200年以上もの間、ひと時も途絶えることなく現在も灯りつづけています。
また、広島平和記念公園の「平和の灯火」の種火にもなっており、平和と希望の象徴としても人々を見守りつづけてきました。
2020年から、世界では目に見えない恐怖が人々を襲いました。
コロナ禍で閉塞した人々の気持ちに火を灯し、
『困難な時でも支え合って生き、100年先、1000年先の未来を希望の灯で照らしたい。』
そんな想いから、ひとつのプロジェクトが立ち上がります。
1000年先の未来を照らす新しいシンボルの制作
宮島弥山大本山大聖院の「疲弊した人々の心に元気の火を灯したい」という日々の想いがさまざまな縁をつなぎ、賛同する広島の地元の企業が集まりました。
「工業で世の中に貢献する」
これは、マツダの前身である東洋工業の創業時からの志です。
希望と平和の未来を守りつづけていくため、そしてマツダに受け継がれたものづくりの力を通してなにか貢献できることはないか。
マルニ木工さん・お墓の日光さん・広島市立大学の共創ゼミの学生さんという地域のものづくりの有志が集まり、「消えずの火」を灯す新しい希望と平和のシンボル「灯火台」の制作がスタートしました。
マツダが担当したのは、灯火台の制作と全体のデザインコーディネート。
デザインコンセプトを決めるにあたり挑戦したのは「時を超えるカタチ」でした。
数百年先まで存在しつづける、本質を極めたデザインです。
灯火台「蓮華」
灯火台本体だけでなく、真っすぐに伸びる炎そのものの「カタチ」にもこだわり、試行錯誤を繰り返しました。
凛とした火を柔らかく包み込む器は、手仕事の温かみを感じ、仏様とも縁の深い蓮の華をテーマにデザインし、マツダの「匠」と呼ばれるモデラ―が自身の手で時間をかけて銅板をたたき、想いを込めながら磨きあげたものとなっています。
また、「広島にモノづくりで貢献する」という志の下、ものづくりの未来を担う学生との共創の場も持ちました。
2017年以降共に活動を続けている広島市立大学芸術学部の「マツダ共創ゼミ」のメンバーにも参加いただき、デザインの着想の部分で学生から寄せられたデザインテーマや考え方を参考にしながら、お互いに活動を深めました。
灯火台の火を点けお香をたてかける大香炉は、宮島の弥山山頂からの景色を象徴する瀬戸内を抱く形をテーマにしたデザインとなっています。
大香炉の制作はお墓の日光さんが担当され、黒御影石(クンナム)を加工し制作しています。
石で複雑な形状をつくるのは非常に難しい中、これまで培われてこられた技術を駆使し、美しい曲線を描いた大香炉を創り出されています。
そして大香炉を支える台座は、「100年後も「世界の定番」として認められる木工家具を作り続ける」というビジョンの下、家具づくりに励まれているマルニ木工さんにご担当いただきました。
人々が空へむけ両手をかかげた姿をイメージした台座は、温かみの感じるデザインの中にも、幾重にも重なった板が一体となる高度な木組み技術が生かされ、重い大香炉を支える強度を維持しています。
平和と希望の未来を願って
それぞれの想いが一つとなり、広島のものづくりの力が結集し、今回のシンボル制作に至ることができました。
想いをカタチとして残し、未来に受け継いでいき、100年先も1000年先も人々を照らす「希望」となることを願っています。
広島、そして宮島・弥山にお越しいただいた際には、ぜひ、平和や希望の未来を願い、広島のものづくり企業の技術と想いが詰まった「消えずの火」をご覧いただければと思います。
■宮島弥山 空海生誕1250年記念事業サイト
https://miyajima-misen-kukai-1250.daisho-in.com/tomoshibi-project/
■マツダ企業サイト 地域貢献活動レポート
https://www.mazda.com/ja/sustainability/social/community/4-60/2022kiezunohi/