「第59回技能五輪」 技能を磨くマツダの若き挑戦者たちを密着取材!
2021年12月に開催された「第59回 技能五輪全国大会」。
マツダグループからは、「自動車板金職種」「曲げ板金職種」「車体塗装職種」「旋盤職種」「メカトロニクス職種」「機械組立て職種」の6種目に14名の社員が広島県および山口県の代表選手として出場しました。
結果、「自動車板金」と「曲げ板金」の2種目でそれぞれ金賞と銀賞の4名が受賞しました!
「第59回技能五輪全国大会」マツダ所属選手の入賞者(左から吉田選手、田中選手、坂根選手、川村選手)
技能五輪全国大会とはどのような大会なのか、そしてマツダがどのように臨んでいるのか。未来のクルマ造りをリードする人材となり得る選手たちに、大会前から密着取材しました。
技能五輪に向けて懸命に取り組む選手と、全力でサポートする監督、コーチの姿をご紹介します!
そもそも、技能五輪全国大会とは
技能の重要性をアピールし、技能尊重の機運醸成を図ることを目的に開催される、次世代を担う青年技能者※の技能レベルの日本一を競う技能競技大会です。
※出場できるのは、各都道府県の職業能力開発協会などで選抜された選手(原則23才以下)
マツダは、この技能五輪大会を通して次世代を担う若い世代の人材育成に取り組んでいます。
第1回技能五輪全国大会が開催された1963年から、工場板金職種(現在の自動車板金)に初出場。
以来、新入社員の採用がなかったオイルショック時代を除いて、毎年参加を続け、これまで累計561名もの従業員が出場してきました。
大会に向け厳しい訓練を積み重ねる日々
技能五輪に出場する選手は、入社から約2ヶ月間の初期研修の取り組み姿勢や技能の適正、本人の希望などから選抜されます。入社後研修が終わり次第、選抜されたメンバーは、通常の生産業務には入らず、職種ごとの訓練が始まります。
それからは訓練漬けの日々が3年間。1年目は基礎技能の習得、2年目からは大会の模擬課題などを使ってさらに高いレベルの技能習得に取り組みます。
そして技能五輪大会の2~3カ月前に課題が公表されてからは、与えられた課題の精度を磨き、大会本番のスケジュールで模擬訓練を繰り返すなど、大会本番に向けてますます熱を帯びた訓練が行われます。大会が近づくにつれて緊張感とプレッシャーも徐々に高まり、悩み苦しいときもありますが、監督・コーチの支え、そして選手同士で励まし合いながら、大会までの貴重な日々を過ごしていきます。
いよいよ本番! これまでの全てを出し切る
2021年度の大会は昨年12月18日~19日に東京ビッグサイトで開催され、42 職種に全国から約1,030 名が参加しました。マツダが参加する自動車板金、曲げ板金や車体塗装には自動車関連企業が参加しており、その他の旋盤、メカトロニクス、機械組立てには自動車業界を含む、さまざまな業界から多くの選手が参加しています。
多くの選手が一同に揃う中、競技前は緊張した表情の選手たちでしたが、競技開始のホイッスルが鳴ると同時に真剣な面持ちに。
自動車板金は1日で7時間、車体塗装は2日で合計9時間10分など、どの職種も長丁場となる競技時間ですが、最後の1秒まで集中して必死に課題に取り組みました。
大会本番の選手たちの姿と一緒に、マツダの出場職種をご紹介します。
▲(写真左)自動車板金
平らな金属板をハンマーで成形し、溶接によって組立てる技能。競技では、寸法や形状の精度、表面仕上げの美しさを競います。
▲(写真右)曲げ板金
さまざまな技術を用いて金属の板を立体的に加工する技能。競技では、時間内に課題をいかに美しく高精度に成形できるかを競います。
▲(写真左)車体塗装
自動車のさびを防ぎ、美しさを保つもの。競技では、マスキング、原色塗料からの色合わせ、損傷部の復元など、全9種類の課題で競います。
▲(写真右)旋盤
工作物を回転させながら、ナイフで果物の皮を剥くように削る技能。数十種類の刃物を使い分け、金属部品の精度や、部品がスムーズに動作するかを競います。
▲(写真左)メカトロニクス
機械工学と電子工学、情報工学、制御工学などから成る技能。装置の設計、組立、調整、プログラミング、ネットワーク運転などの能力を競います。
▲(写真右)機械組立て
ヤスリなどの手工具を用いて加工・組み立てる技能。複数の素材を使って加工・組立て調整を行い、工作機械として正しく稼働するように調整する能力を競います。
緊張の瞬間! –成績発表–
大会翌日12月20日に行われた閉会式はリモートで開催されました。選手、監督、コーチが集まり、緊張と期待が入り混じった雰囲気の中で成績が発表されました。
<今大会のマツダの受賞結果>
出場職種 | 賞 | 名前 | 所属 |
自動車板金 | 金賞 | 田中 薫 (たなか かおる) | R&D技術管理本部 試作部 |
銀賞 | 吉田 海人(よしだ かいと) | 本社工場 車体製造部 | |
曲げ板金 | 金賞 | 坂根 壮真(さかね そうま) | 本社工場 車体製造部 |
銀賞 | 川村 康太(かわむら こうた) | 本社工場 車体製造部 |
▲発表の瞬間の選手の様子/受賞の喜びをコーチや監督と分かち合う選手たち
▲受賞した選手たち
(写真左から)曲げ板金の川村選手、坂根選手、自動車板金の田中選手、吉田選手
培った技能・経験を生かし、未来へ
大会を終えた選手に、技能五輪を通して感じたことを聞いてみました。
「これまでの3年間で、改善に改善を重ねていくこと、しっかりと準備をすることの大切さなど、仕事の進め方を学ぶことができました。これを今後の仕事、人生に生かしていきたいと思います」
選手はもちろん、選手を支える多くの関係者全員が同じ想いを持ち、技能五輪・若手の育成に取り組むことで、マツダのクルマ造りを支える大きな力になっています。
技能五輪に出場した選手たちは、その後どんな道を歩んでいるのか。
技能五輪の選手たちはその後次の代の選手を指導するコーチ、もしくは現場に配属されます。そこでは培った知識、経験、考え方を実業務に活かしていきます。
例えば、マツダのビジョンモデルである「RX-VISION」や「VISION COUPE」のベースとなるオブジェの製作などでも技能五輪の出場経験のあるメンバーが携わっており、技能五輪で培った知識、技能、経験をクルマ造りの現場で生かし、各領域で大きな挑戦に取り組んでいます。
▲(写真左から)
デザイン本部デザインモニタリングスタジオ シニアスペシャリスト
川野 穣(第20~21回技能五輪全国大会に出場、銅賞を獲得)
浅野 友則(第22~24回技能五輪全国大会に出場、金・銀・銅賞を獲得)
マツダがこれまで継続して技能五輪への取り組みを続けているのは、大会で良い成績を収めることだけではありません。 選手たちが技能五輪を通じて技能・技術を培い、クルマ造りをリードする人材となり、これからのクルマ産業や地域社会への貢献をしていくためでもあります。
マツダは、これからも高品質なクルマづくりを実現して、世界中のお客さまに愛される商品、技術、サービスをお届けすることで、お客さまと特別な絆で結ばれたブランドになることを目指し、さまざまな取り組みを続けていきます。