MAZDA BLOG
2022.3.22

オンライン授業を通したコロナ禍での絆づくり ~地域への活動に込めた想い~

皆さん、こんにちは。 

いつもマツダのクルマやモノづくりを中心にご紹介している本ブログですが、今回は、マツダが取り組んでいる地域との絆づくりについてご紹介します。

 

インタビューに答えるのは、2016年から地域とマツダをつなぐさまざまな活動に携わってきた、総務部・地域リレーショングループの吉塚 瞳(よしづか ひとみ)。

コロナ禍でさまざまな交流イベントが中止や延期になる中、どのように地域への活動に取り組んできたのか、地域活動の歴史と先人たちの想いを受け継ぎチャレンジした、そのストーリーについて聞きました。

 

* * * * *

 

 

まずはじめに、マツダはどのような考えで地域への活動に取り組んでいるのか教えてください。

 

マツダは、地域の経済・産業の活性化に寄与する「良き企業市民」として、地域との連帯・共生に努め、豊かなまちづくりに貢献することを基本理念として企業活動に取り組んでいます。

クルマづくりを通して地域産業の活性化に貢献することはもちろんですが、産業という枠に留まらない地域への活動にも力を入れてきました。

子どもたちから大人まで幅広い方を対象に、学習支援や地域交流、環境保全や防災、文化スポーツ支援など多岐に渡りさまざまな活動を行っています。

 

いつ頃からそうした地域への活動をおこなっているのですか?

 

始まりは、マツダ創業の頃に遡ります。

創業者の松田重次郎は、郷里・広島の人たちの暮らしが豊かになることを願い、現在のマツダ本社がある向洋(むかいなだ)地区に工場を建設しました。

また、息子の松田恒次は、広島東洋カープ設立に貢献するなど、地域の社会・文化・スポーツ活動の向上に情熱を傾けたと聞きます。

 

向洋地区の全社風景(1931年)

 

改めて地域への活動の歴史を振り返ってみると、先人たちが創業者の想いを引き継ぎ、マツダを見守り育ててくださった地域の方々へのご恩返しとして、知恵と工夫を凝らしてさまざまな活動に取り組んできたことが分かります。

 

当時、地域に発行していた『まいたうん』より

 

例えば、地域の皆さんとのふれあいを目的として『東洋工業コミュニティ活動振興会』や『マツダコミュニティサークル』などを発足し、お祭りへの参加や社内駅伝大会、ドライバー教室、工場見学会の開催など、地域との交流を大切にしてきました。

また、地域の学校や公民館、町内会とのつながりも深かったようです。

※マツダの旧社名

 

さまざまな地域への活動の中で、これまで学校向けにはどのような活動をされてきたのでしょうか?

 

学校向けの学習支援活動には大きく分けて3つあります。

1つ目は、「マツダミュージアム見学」です。

ここではマツダの歴史からクルマや技術の展示、そして隣接する工場の組立ラインで次々とクルマが作られていく光景を間近で見ることができ、年間約3万人の子どもたちが社会科見学や修学旅行で訪れ、自動車産業について学んでいます。

(※マツダミュージアムは、創立100 周年事業の一環でのリニューアルと、コロナ感染拡大防止のため、現在は閉館中です)

 

 

2つ目は、「出前授業」です。

小学校から大学まで、各学校の要望に合わせて、マツダ社員が講師となって、モノづくり体験や環境授業、職業講話などの授業を行います。

 

 

3つ目は、子どもたちの豊かな心身を育むお手伝いをする活動です。

こちらはマツダスペシャリストバンクに属する社員やOB・OGが対応し、スポーツ指導や音楽演奏などを実施しています。

※専門的な知識・技術・技能や長年培ってきた特技や趣味などを持つマツダグループ企業の社員・OB・OGが登録している人材バンク

 

 

コロナ禍になって、それらの活動はどうなったのでしょうか?

 

2020年はマツダ創立100周年ということもあり、社員が地域ともっとつながることができるような企画を準備していたのですが、コロナの影響で全く見通しが立たなくなってしまいました。

一方、教育現場でも、修学旅行や社会科見学等、校外で学んだり実社会を体験したりする機会が激減し、先生方から「コロナ禍でも子どもたちに学ぶ機会を提供したい」という声が届いていました。

 

先の見えない状況の中、社内でもさまざまな意見がありましたが、先人たちが積み重ねてきた地域との関わりを途絶えさせたくない、何かの形で継続したいという想いがあり、チームですぐに準備を始めました。

政府方針や社内の基準を踏まえた上で、社内にいる専門の保健師にも協力してもらい、コロナ環境下における対面での学習支援活動に関する独自の基準を作りました。

 

また、対面授業が出来ない場合に備えて機材を用意し、2020年8月からオンラインでの取り組みを開始しました。

さまざまな部門の協力を得て、普段は入ることができない施設を紹介したり、細かい部品をカメラでズームして見せたりなど、オンライン授業ならではの工夫を織り込むことができ、新たな教育支援の可能性を感じています。

 

 

また、ミュージアムへの社会科見学の代替案として学習動画を制作。

教育委員会を通じて小学校へ動画を展開していただいたり、近隣の小学校にお声がけしてオンライン社会科見学を行ったりするなど、少しずつ実績を積み重ねてきました。

 

学習動画
(マツダ工場見学編、マツダで働く人のインタビュー編)

 

今後はより多くの社員がたくさんの子どもたちとつながりを持ち、学びに貢献できるよう活動を進めていきたいと考えています。

 

オンライン授業は、具体的にはどのような内容で実施しているのですか?

 

例えば最近では、広島県内の中高一貫校の中学3年生と高校1年生を対象に、合同オンライン授業を実施しました。

「SDGsやカーボンニュートラルをテーマに、地元の自動車メーカーの考え方や取り組みを聞いて学びを深める機会を創出したい」というご要望をいただき、マルチソリューションやライフサイクルアセスメントをキーワードにしたマツダの取り組みについてお話ししました。

 

 

また、SDGsの3番目「すべての人に健康と福祉を」にある「交通事故半減」という目標への取り組みについては、開発メンバーに協力してもらい、衝突安全に関するマツダの取り組みや考え方を紹介しました。

 

オンライン授業の様子

 

参加された生徒さんや先生方の反応はいかがでしたか?

 

皆さんとても熱心に聞いてくださり、最後の質問タイムでは、生徒さんたちから

「EV化が進むと電力供給量が追い付かなくなる可能性が出てくるのではと思いますが、どう考えますか?」

「電気自動車のCO2排出量は少ないですが、バッテリーには重金属など環境汚染につながる物が入っています。この問題についてはどう考えていますか?」

など、鋭い質問をたくさんいただきました。

 

 

先生方からは
「生徒たちが目をキラキラと輝かせていました」
など、嬉しい報告もいただきました。

 

また、今回登壇してくれた開発メンバーからも

「開発のこだわりや熱意を分かりやすく伝えることに苦心しましたが、自分の仕事とお客様とのつながりを見つめ直す良いきっかけになりました」

「生徒さんたちの鋭い質問に驚かされ、自動車エンジニアとしてもっと視野を広げないとと思いました」

など、活動を通じで前向きな気持ちの変化を感じられるような感想をもらいました。

 

対応した総務と開発のメンバー
(※撮影時のみマスクを外しました)

 

最後に、地域への活動でこれからチャレンジしてみたいことを教えてください。

 

私は「心に感動を、人に元気を」という想いでこの活動に取り組んでいます。

この活動が、未来を担う子どもたちや先生方に喜んでいただけていること、また、登壇した社員のモチベーションにつながっていることに、私自身とてもやりがいを感じています。

 

オンライン授業の様子

 

今後も、マツダやマツダで働く人たちの持つ知識や経験、技術や考え方で、誰かの学びを深めたり、社会課題を解決したり、世の中の役に立てることにもっとつなげていきたいと思っています。

先人たちの想いを大切にしながら、これからも地域と共に成長し身近な存在となれるよう、マツダの「人」の力を活かして、教育現場に寄り添った教育支援に取り組んでいきたいです。

また、今はオンラインにも対応できるようになったので、いつか世界中の子どもたちとつながることができたら素敵だなと思っています。

 

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いかがでしたでしょうか。

今回は、マツダが取り組んでいる地域との絆づくりのストーリーについて取り上げてみました。

今後も取材を続けて行きたいと思いますので、お楽しみに!

 

◇マツダの地域活動に関連するブログ: 

お客さまの命を守るために。安全啓発活動に携わるエンジニアたち。

操業開始から40年。もう一つのマツダ車のふるさと、“防府工場“をご紹介します

 

カテゴリー:ストーリー