MAZDA BLOG
2024.5.21

マツダの本気が見えた!北京モーターショー現場取材レポート -新型電動車発表!中国市場でマツダの新時代を切り開く

 

中国・北京で「オートチャイナ2024(北京モーターショー2024)」が4月25日から5月4日にかけて開催されました。中国は世界最大の電気自動車市場とあって、国内外のメーカーから最新の新エネルギー車(NEV)が過去最多の出展数となるなど、来場者の注目も高く会場は熱気の渦に包まれていました。

本記事では、MAZDA  BLOG編集部のスタッフがその現場取材の様子をお届けします。

※新エネルギー車(NEW ENERGY VEHICLE)・・・中国政府が普及を促すバッテリーEV(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。

 

北京モーターショーの現場で驚いたのは、Xiaomi(シャオミ)やHUAWEI(ファーウェイ)、DJI(ディー・ジェイ・アイ)といった、日本ではスマートフォンやカメラドローン機材などでお馴染みの中国ブランドの名前を見かけたことです。皆さんがご存じのいわゆる自動車メーカーではなく、地元中国のIT企業などが新興EVメーカーとして多数出展していました。

(Xiaomiブース) (DJIブース)

マツダも、2004年以来のパートナーである長安汽車と協業で開発した新型電動車「MAZDA EZ-6」と、それに続く第二弾電動車のコンセプトモデル「MAZDA 創 ARATA(マツダ・アラタ)」を発表。それだけにとどまらず、第三弾、第四弾のNEVモデルを投入していくことを明らかにし、中国市場における反転攻勢の強い意志を発信しました。

(MAZDA EZ-6) (MAZDA 創 ARATA)

 

マツダは長安汽車とのパートナーシップを大切に、中国におけるマツダビジネスの反転攻勢に共にチャレンジしてまいります。

(中国市場における)新たなマツダの新時代への飛躍を楽しみにしていてください。

代表取締役社長兼CEO
毛籠 勝弘

 

クルマが第2のリビングルームに!?
「電動化」+「知能化」+「スマート化」×マツダらしさ

携帯電話がいわゆるガラケーからスマホに変化したことで私たちのライフスタイルが大きく変わったように、昨今では電動化と合わせてクルマの「知能化」、「スマート化」によって、特に中国消費者の若者の間では、クルマそのものに対する意識がかなり大きく変化しています。

中国の若者が新エネ車を選ぶ理由の一つに、どういう動力で走るか、ということよりも、新エネ車であればいろんな機能を備えているということがあるそうです。

大画面で助手席の人も一緒にゲームをしたり、音楽や映画を鑑賞して過ごしたり…

クルマの中を、まるで第2のリビングルームとしてどんなふうに過ごせるか、中国の若者のクルマ選びはそこがまずポイントになるようです。

(アプリをインストールしている様子)

(助手席まで広がる大画面)

このようにお客様のクルマに対する価値観が多様化する中で、新エネ車でマツダらしさをどのように表現するかがポイントになる、と開発主査の小澤さんは語ります。

マツダの強みといえば、やはりデザインと走り。

デザインは、魂動デザインの進化がしっかりと織り込まれています。

走りの点でいうと、ガソリン車から乗り換えたお客様も違和感なく、まるでガソリン車のごとく運転ができる、加えてBEVのより加速度の強いところがMAZDA EZ-6の強みになっていると思います。

マツダ株式会社 商品主査 兼
長安マツダ汽車有限公司
商品技術開発センター長
小澤 裕史

 

デザインのコンセプトは「オーセンティックモダン」です。先進の技術を使いながら、(フロントグリルのデザインなど)マツダの伝統デザインを際立たせています。また内装もクラフトマンシップを感じられるデザインにしています。

デザイン本部 チーフデザイナー
岩内 義人

 

MAZDA EZ-6のデザイナーである岩内さんご本人にカメラをもって見どころポイントを解説していただきました!

「MAZDA EZ-6のここを見て!」by 岩内チーフデザイナー

 

国や地域それぞれの事情に合わせたマツダの提案

中国での新エネ車の需要は、前年比で4割近く(BEVは2割強)の伸び率があると言われています。

しかしお客様の中には、「給電に対する不安」もしくは「走行距離に対する不安」を持っている方も多く、新エネ車のセグメントの中でも、ガソリンを使って走れるプラグインハイブリッド(PHEV)への需要がますます高まっているそうです。

中国は、充電スポットが大都市圏ではかなり充実しているので、通常だとあまり困ることはないですが、やはり皆さんが遠出をする連休などは、高速道路の充電スタンドは大渋滞になります。そういった時にBEVだと不安だと言うお客様が最近PHEVなどを嗜好されています。

(取材時)長安マツダ汽車有限公司 総裁
住岡 敬さん

 

さらに、中国のような広い国では、都市部と地方でインフラ整備に差があり、充電の課題を抱えている地方もまだまだ多いそうです。また、気候条件も場所によって大きく違うので、北京も位置する北東北エリアでは、冬は非常に厳しく、気温がマイナスになることもしばしば。バッテリーは寒いと、電気を貯めたり使ったりするときの抵抗が大きくなり、電気の減りが早くなってしまうので、本来の能力を十分発揮できません。

そこでマツダは中国の事情に合わせて、MAZDA EZ-6をいずれも新エネ車に該当する100%バッテリー駆動のBEVと、エンジンを組み合わせたPHEVの2種類で展開することにしました。

中国の中でも地域によって、お客様のライフスタイル、クルマの使い方や充電ステーションなど社会インフラの整備状況は違います。グローバル市場を見渡すと、更に多様化が進んでおり、マツダはそれぞれの市場環境に応じたマルチソリューションの考え方で、クリーンディーゼルエンジン、マイルドハイブリッド、ハイブリッド、PHEVやBEVなど、お客様のライフスタイルや用途に適した多様な選択肢を提供しています。

 

マツダ×長安汽車:協業によるDNAの融合

中国のお客様の新しいものに対する興味や感度は非常に高く、北京モーターショーの現場でも四方八方で大勢のTikTokerやジャーナリスト、インフルエンサーが車両を取り囲み、ライブ配信で即座に視聴者の反応を見ながら新型車の情報発信を行っている様子に圧倒されました。熱気あふれる会場で、中国市場のスピード感を、わずかですが垣間見た気がします。

(新型電動車発表直後の大盛況の長安マツダブース)

 

現地自動車ジャーナリストの方にお話を伺ったところ、MAZDA EZ-6はマツダと長安汽車が持つそれぞれの良いDNAをうまく融合して、中国のお客様のニーズに適合した新エネ車だと語ってくれました。

 

中国サイドは先進技術を提供し、日本サイドは素晴らしいデザインやブランド価値、ヘリテージを提供しています。

そのため、中国のマツダファンや、新エネルギー車が好きなお客様をターゲットによく売れるでしょう。

中国の自動車ジャーナリスト
何さん

 

長安汽車との国を超えた協業の現場は、色々とご苦労が多かったと思いますが、開発に携わった方々が口を揃えて「大変だけど楽しい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

(小澤さん)中国は日本でいる倍以上の感覚で物事が進んでいくんですね。そのスピード感についていくためには走りながら考えていくといったスタイルをやっていかないと競合で負けてしまう。

開発の途中でも競合他社の情報が入ってくると、
それに勝つために仕様をいきなり変更しようということもありました。

厳しいですが、自分で物事を決めていく楽しさを味わえるプロジェクトでした。

今後の車種にも、ぜひ期待してください。

 

(中国での協業体験を楽しそうにお話してくださった小澤さんと岩内さん)

 

私もこれからの中国市場でのマツダの挑戦に期待したいと思います!

今回取材にご協力いただきました皆さん、ありがとうございました。

 

今回の記事に関する内容を動画でもご紹介していますので是非ご覧ください!