サステナブル・ブランド国際会議に見たマツダの原点、そして未来に向けたマルチソリューション戦略
今日の自動車産業は、100年に一度の大変革期。カーボンニュートラルへの取り組みが求められる中、持続可能な社会の発展に向けて、マツダの『飽くなき挑戦』が描く未来とはどのようなものなのでしょうか?
今年2月21・22日に東京国際フォーラムで開催されたサステナブル・ブランド国際会議。持続可能な社会の実現に向けて、サステナビリティのリーダーが集うアジア最大級のコミュニティイベントで日本では8回目の開催となります。
世の中の関心の高まりを受けてマツダも参加。業界の垣根を超えたグローバル企業が集まり、サステナビリティの最前線の知見を共有し合う場となりました。のべ約4,000人の来場者が集まる中、マツダは社長の毛籠の基調講演やサステナビリティにまつわる活動を展示ブースとして紹介しました。その知られざる取り組みを、映像と記事でお届けします。
EVがすべてを解決するのか? マツダのマルチソリューションとは?
最近では、欧米をはじめ、国や地域ごとにその環境規制に対する取り組みやインフラ整備も一様ではない実態が浮かび上がり、これまでのようなEV一辺倒のメディアの論調にも変化が起こってきています。
一方で、カーボンニュートラル社会を実現するためのエネルギーとして、水素、バイオ、合成燃料など多様なカーボンニュートラル燃料の研究開発が進んでおり、いずれ社会実装されていくタイミングが来ることが予想されます。
時間と共に技術は絶えず進化していることを踏まえ、時代に適合した技術を、最適かつ多様なソリューションで提供することがカーボンニュートラルへのロードマップとして大変有効であると考え、マツダはマルチソリューション戦略を取っています。
マツダの展示ブース
環境エンジンとしてのロータリーエンジン(左) 微細藻類エネルギーの研究開発(右)
毛籠社長の基調講演 (「サステナブル・ブランドジャパン」メディアの記事を転載)
“日本の自動車メーカーから満を持して登壇したのは、マツダ社長の毛籠(もろ)勝弘氏だ。広島を拠点に創業104年を迎えたマツダ。毛籠氏は、戦後の廃墟と化した広島の写真から同社最新のスポーツカーまでを映しながら、「モビリティはどこまで人の力になれるだろう」と投げかける映像をバックに、「日々前向きに、諦めずに取り組めば、人々に笑顔が戻る。先達のそういう生きざまが飽くなき挑戦、という当社のDNAを育んできた」と語り始めた。
聞き入る聴衆。話はロータリーエンジンに移り、「小型、軽量、高出力で夢のエンジンと言われた。世界中の自動車メーカーがその実用化に取り組み、断念する中、マツダは6年半をかけて世界で初めて本格的な量産化に成功した」と毛籠氏は力を込めた。 ロータリーエンジンは環境エンジンとなる可能性も高く、1990年から水素を燃料とする実証実験に取り組んだことにも言及。扱いにくい水素もロータリーエンジンならばコントロールしやすい。「ロータリーエンジンは官能的なスポーツカーで人気が根強いが、CO2を全く出さない究極の環境エンジンの可能性も秘める。ジキルとハイドの二面性を持ったその魅力に私たちは魅了され続ける」。車を愛するトップらしい表現でロータリーエンジンへの憧憬(しょうけい)を語った。 次にカーボンニュートラルについて、「当社も2030年にすべての車を電動化する」と宣言。返す刀で「電気自動車がすべてを解決するのか」と投げかけた。資源の採掘から廃棄までのライフサイクルでどうなのかという問題だ。「化石燃料への依存度が高い日本の例で申し上げると、再エネ電力がない場合は車に充電する電気はCO2を排出して作られている」。ライフサイクル全体でのCO2排出量は、電気自動車とハイブリッド車がほぼ同じというデータを示し、「当社はマルチソリューションというアプローチをとっている」と話を進めた。電気自動車、クリーンディーゼル、プラグインハイブリッドなど、多様なソリューションで顧客の選択の自由を確保する戦略だ。「技術は絶えず進化する。時代に適合した最適かつ多様なソリューションを提供する」と。 最後、毛籠氏が強調したのは「走りの楽しさ」だった。「私たちは走る歓び、その価値を電動化の時代になっても提供し続けたい」としてスポーツタイプのコンセプトカー「MAZDA ICONIC SP」を画像で披露。「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」と定めたマツダのパーパスを紹介し、「お客さまの今日が前向きな一日であってほしい。お客さまを車でワクワクさせ続けたい」と結んだ。” |
社会との対話の場がマツダを持続可能な未来へとドライブさせる
展示ブースを訪れた高校生の皆さん
社長の毛籠の講演やサステナビリティの展示に、最も反応していたのが、クルマ離れと言われて久しい若い世代でした。VTRでは紹介しきれませんでしたが、藻類の基礎研究に触発されて藻の研究をやってみたいと語っていた高校生やグランツーリスモ好きでマツダ車に惹かれてやってきた大学生もいました。中にはジャパンモビリティショーで見たMAZDA ICONIC SP に憧れ、目を輝かせながら30分近く、デザイナーと話し込んでいた高校生もいました。マツダでは、実際に現場を担当した各部門の専門家が、それぞれの持ち場で自身の体験をベースに生きた言葉で解説します。訪れた人も興味深く耳を傾け、担当者と話し込んでいたのが印象的でした。
訪れた人に解説するマツダの説明員
パーパスの根底にあるマツダの思想
マツダは、時代に適合しながら、サステナビリティと走る歓びをこれからも進化させていきます。その根底には「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」というマツダのパーパスがあります。講演の後、記者からパーパスに込められた想いを問われた社長の毛籠。かつての戦後復興を、広島の人々と共に乗り越えてきたマツダの歩みと重ねます。
“『前向きに今日を生きる人の輪を広げる』という文言は、戦後の広島で1日1日復興に向けて頑張って、1日1日、いい日になって、笑顔が広がり、地域の輪が広がって、今日の平和都市へと歩みを進めてきた、そういう広島の先人たちの100年の生きざまとも重なる。だから走る歓び、人生がうれしくなるとかにどうしてもこだわりたい。それを成し得たのは人なんです、人の力を信じるということにこだわりたい。”
マツダのサステナビリティの考え方、取り組みについて如何でしたか?
広島という土地で育まれたマツダは、これからも「走る歓び」と「サステナビリティ」の両輪で加速していきます。今後の活動にご期待ください。
サステナブル・ブランド国際会議の運営に関わったマツダ社員