MAZDA BLOG
2016.11.22

【R360レストアプロジェクト】高校生と共に伝承されるマツダのDNA、モノ造りの奥深さを学ぶ。

そろそろ、年末年始のお休みが待ち遠しいころですね。
皆さんは学生時代、夏休みや冬休みなど長期連休はどのように過ごされましたか?

マツダでは、今年2016年8月の夏に、将来のモノづくりを担う地元広島の高校生のみなさまに、「レストアプロジェクト」に参加していただきました。「レストアプロジェクト」とは、古いクルマ復元する過程の中で、マツダに脈々と伝わる生産当時の哲学や思想を直接肌で感じ、次世代へ伝承することを目的としています。プロジェクトの詳細は、こちらをご覧下さい。

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昨年に続き、2回目を迎えるこの取り組みの目的は、レストア作業の体験を通して、未来を担う若い皆さんにモノ造りの奥深さや働く事の意味・やりがいを知ってもらうこと。さらには、自分の将来について深く考えるきっかけにして欲しい、そんな想いで開催しています。今回参加したのは、広島県立広島工業高校と広島市立広島工業高校の自動車部メンバー、合計14名。

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(写真左:バルブ擦り合わせ作業、写真右:車体の塗装面仕上げ作業)

今回レストアするのは、マツダ初の乗用車「R360」。
レストアプロジェクトメンバーであるマツダ社員と一緒に、次の5つのグループに分かれて作業を行いました。

・チェンジノブ再生
・エンジンのバルブ摺合せの体験
・車体の塗装面仕上げ
・エンジンカバーの塗装剥がし
・トランスミッション&ギヤ部品の洗浄

チェンジノブの再生
まずは、分解し、丁寧に清掃。そして、分解でわかった構造から「整備書」を作成します。
当日は洗浄までしか出来ませんでしたが、きっちりとした「整備書」を残してくれたおかげで、後日レストアメンバーの手で綺麗に組み立てることが出来ました。

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(写真:チェンジノブの分解作業)

エンジンのバルブ摺合せの体験
エンジンの性能を保つ重要な作業となる「バルブ摺合せ」。気密面の当たりを確認しながらの慎重な作業です。

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(写真左:バルブ擦り合わせ作業、写真右:バルブの面当たり確認)

車体の塗装面仕上げ
この作業は、塗装表面を研磨して仕上げるもの。今回のレストア車は屋内保管されていたので、外板塗装面の状態が比較的良いことから、外板は研磨剤で仕上げました。一方、エンジンルームやトランクルームなど汚れが酷い個所はブラシで取り除きながら綺麗に磨きます。
磨いていく過程の中で、車体の構造が分かってきます。よく見ると、普段見えない部分に凹凸が出来ており、この部分で強度を出していることに、学生の皆さんは気が付いてくれました。

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(写真左:エンジンルームの塗装面磨き、写真右:エンジンカバーの塗装剥がし)

エンジンカバーの塗装剥がし
エンジンルーム内の汚れ等からこびり付いた汚れと一緒に塗装をはがします。その際に、当時のエンジンは空冷式であり、エンジンの熱を暖房として使う為に、このエンジンカバーが導風板となって車室内へ熱を引き込む構造となっていることを学びました。

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(写真左:ミッション洗浄作業、写真右:ミッション内部確認)

トランスミッション&ギヤ部品の洗浄
この作業では、まずはトランスミッション本体の外側と内部を洗浄。
この洗浄作業を通して、当時のトランスミッションはMTもATもこのギヤ部分が共通だったということを学びました。現在は、ギヤ部分がMT用、AT用で異なるのが主流となっています。また、ギヤチェンジした際にどのように動くのか、内部構造を実際に動かしながら学んでもらいました。

広島県立広島工業高校の元道 幸四郎(もとみち こうしろう)さんは、
「実際に作業している所や、歴史などを知り、プロになるには考え方から変えていかないといけないと感じた。自分自身の意思をしっかり持ち、自分の考え方を見直したい。プロの考えや目標というものが知ることができ、とても良い経験となった。」
と、将来に向けて気持ちを引き締めたようです。

広島県立広島工業高校の西 拓実(にし たくみ)さんは、
「工場の仕事というのは、具体的にどんなことをしているのかよくわからなかったが、今回工場見学もさせていただき、具体的な仕事内容を見ることができ、自分の将来について考えるきっかけとなった。」
と、将来を考えるきっかけとなったようです。

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また、前日にはクルマづくりの歴史とレストア活動について講義と工場やミュージアムを見学いただきました。

講義では、マツダがなぜレストアをしているのか、そして、当時のエンジニアの志や、歴代のマツダ車に受け継がれてきた“マツダのDNA”をご紹介。
工場見学では、当時と現在のモノ造りの違いや進化を体感してもらうために、当時の府中工場を再現した模型と、現在稼働中の宇品工場を比較してもらいました。この府中工場は、1960年に稼働した工場で、日本初のコンピューターによる生産管理や多車種混流生産を行った工場で、マツダの生産工場の原点となる工場でした。

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さらに、マツダミュージアムに展示している歴史パネルでマツダの歴史を学び、展示してある実車で当時の商品、今のクルマが企画されて量産されるまでのプロセスなどを学びました。

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最後に、宇品工場の車両組立ラインを見学。「混流生産」で実際に複数の車種が同じラインで生産されていることに驚いていました。また、より良いクルマづくりが出来るよう日々知恵を出した「からくり改善」にも、興味を持っていました。

今回の体験を通して、学生の皆さんにモノ造りの楽しさや奥深さに触れてもらい、将来を考える良いきっかけとなったようです。マツダはこれからも、みなさまと「ものづくりの奥深さ」を一緒に感じることのできる、取り組みを行えたらと思います。

今年のレストアプロジェクトと昨年のレストア体験についてはこちらをご覧ください。
▲マツダのDNA伝承!将来のモノ造りを担う高校生、コスモスポーツレストア体験(2015年9月3日)
https://blog.mazda.com/archive/20150903_01.html
▲マツダ初の乗用車「R360クーペ」を復元! ルーツを探る。(2016年10月20日)
https://blog.mazda.com/archive/20161019_02.html

 

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カテゴリー:ストーリー
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