MAZDA BLOG
2019.7.26

東日本大震災被災児童自立支援プロジェクト「サポート・アワー・キッズ」2019年フランスステイ

東日本大震災により被災した子どもたちの自立支援と東北の復興を担うリーダーの育成を目的とし、海外ホームステイや駐日大使館内での異文化交流などに取り組む「Support Our Kids(サポート・アワー・キッズ)」プロジェクト。

 

「ル・マン24時間レースという過酷な戦いに挑戦し続ける人々や現地に住む方々との出会いや交流を通じて、子どもたちがそれぞれ目標を見つけ挑戦してほしい。」

 

その想いから始まったマツダの支援プログラムも、今年で7回目を迎えました。

今年は、6月7日から6月18日の12日間で実施。

マツダファンにもおなじみの寺田 陽次郎(てらだ ようじろう)氏が代表を務めるNPO法人「次代の創造工房」が公募し、面接などを経て選ばれた宮城・岩手・福島の各県在住の9名の中高生が、このプログラムに参加しました。

サポート・アワー・キッズ2019

 

東京~フランス・シャエーニュ村

7日に東京のフランス大使館における事前研修からスタートした今回のプログラム。

翌日に日本を経った一行は、9日にル・マン市の南に位置するシャエーニュ村へ到着しました。

村の中心部には、サルト県でも指折りと言われるレストラン「シェ・ミトン」があります。このレストランをご主人と共に切り盛りしている松本 尚子(まつもと なおこ)さんが、近隣の住人の方にお声がけして、この村におけるプログラムを設定してくれました。また住民の皆さんにおいても、ボランティアでご協力いただいています。

サポート・アワー・キッズ2019

 

まずは村役場でホームステイ先のファミリーと、どきどきの対面。滞在先は、丘の上にある築300年と言われるお宅や、たくさんの動物がいる農場経営のお宅などさまざま。どのご家族も、とても温かく迎えてくれました。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

翌10日から、子どもたちにとって初めてづくしのプログラムへ。フランス語レッスンでは、初めて聞く曜日や数字、お金の単位など、なかなか身に付けるのは難しそうでした。加えて、この3日間でフランス語のヒット曲「L’envie d’aimer(ランヴィ・デメ)」の歌詞を覚える、という課題も。しかし、こちらは歌詞を見なくても一部を歌えるなど、先生もニッコリするシーンもありました。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

「シェ・ミトン」では、フランス式テーブルマナー講座を実施。皆のほとんどが初体験のようでしたが、ナイフやフォークの使い方は抵抗なく覚えることができたようです。合わせて、尚子さんの作ったお料理に「セ・ボン(美味しい)」とフランス語で答えて、舌鼓を打っていました。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

11日には、地元の中学校で交流会。日本茶の入れ方、折り紙、名前の当て字を習字の得意な子が書いたり、箸で金平糖の掴み取りゲームをしたり、なごやかに進行していきます。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

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しかし、震災についてのプレゼンテーションの時間が短縮されてしまい、全てを完了できないハプニングに。

翌日、「私たちは、多くの支援者のサポートがあってここに来ており、観光旅行ではない。最も大事な、震災の経験を伝えきることができなかったことが悔しい」と、さっそく全員による反省会も行われました。プレゼンテーションは日本でも練習し、内容もまとまっていました。しかし通訳が入るため、想定の2~3倍の時間がかかってしまったのです。ここまでワイワイと楽しくやっていましたが、全員が目的を再認識し、グループが引き締まった瞬間でした。

 

12日には、地元のペタンククラブによる球技大会が行われました。フランスでメジャーなスポーツであるペタンクは、野球のボールほどの大きさの鉄球を使った、主にコントロールを競う競技です。広い場所を必要とせず、体力的負担も少ないので、子どもから大人までが一緒に楽しめます。皆、すぐにコツを覚えて、地元の子どもたちとも競技を楽しみました。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

そして、シャエーニュ最後の夜です。ホームステイの家庭で、合同ディナーに持ち寄る料理をお手伝い。ディナーの最後には覚えたての「L’envie d’aimer(ランヴィ・デメ)」を歌い、それぞれ別れを惜しんでいました。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

ル・マンへ

13日、一行はル・マン市へ。拠点となる、学生達の夏休みで空いている職業訓練専門学校の宿舎へ到着しました。その後トラムに乗って、ル・マン24時間レースが行われるサルトサーキットに移動。ここでは、寺田氏とマツダ執行役員の梅下 隆一(うめした りゅういち)が一行の到着を出迎えます。

まずはサーキット内の常設カート場で、子どもたちにとって初の四輪自動車となるカート体験。約10分間の練習走行では、すぐに加減速とステアリング操作に慣れたようです。そして、ル・マン式スタートによる10分間のレース。

サポート・アワー・キッズ2019サポート・アワー・キッズ2019

 

終了後は全員が表彰台に登り、梅下からメダルを受け取っていました。一行のリーダーを務める佐藤 柊(さとう しゅう)くん(高1)は、「新鮮でした。アクセル全開で走っているうちに、走る歓びというものが少し理解できたと思いますし、どうしたら速く走れるかを考えることは、とても楽しかったです」と、感想を教えてくれました。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

翌14日は、日本食ランチです。一週間以上、フランスパン生活を続けてきた子どもたちには、お米が懐かしくなってくる頃。ル・マン市内の日本食レストラン「高柳」で、お味噌汁とカツカレーが準備され、おかわりをする子もちらほら。このランチに参加した梅下は、「大人になっても輝き続けている人は、いくつになってもチャレンジを諦めない人たちです。皆さんも自分の意思でこのステイに応募し、ここに来ています。すでに皆さんもチャレンジに踏み込んでいる、とても素晴らしいことだと思います。これからも探究心を持って何かにチャレンジし続けること、何事にも諦めない気持ちで頑張ってください」とスピーチしました。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

その後、ル・マン旧市街を散策し、24時間レース前のパレードを見学。街はすっかりお祭り気分、その盛り上がりを目の当たりにし、イベントがいかに巨大なものかを実感したことでしょう。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

翌日は、いよいよ24時間レースの決勝レースへ。スタート前には連覇を狙うTOYOTA GAZOO Racingさんのピットを訪ね、GAZOO Racing Company プレジデントの友山 茂樹(トモヤマ シゲキ)氏からお土産と記念撮影の機会をいただきました。

サポート・アワー・キッズ2019

 

また、この日にはパリのユネスコ(国際連合教育科学文化機関)本部からルソー局長にお越しいただき、サーキット内の一室で震災についてのプレゼン機会も設けられました。今回は改良も重ねており、通訳を挟んでもスムーズに進められるよう準備万端。

サポート・アワー・キッズ2019

 

トップバッターは大場 さくら(おおば さくら)さん(高1)、弁論大会で培った英語での発表です。「津波が町を襲った時、私は体育館の2階にあがれました。振り返ると1階には津波が押し寄せてきて、人々を飲み込んでいきました。外を見ると私の町は黒い海に変わっていました。津波は家族や友達、そして私の家と全てのものを流し去ってしまいました」。その内容に、ルソー氏は「言葉がない」という表情で頷きます。続く沢里 海夢(さわさと みゆ)さん(高2)も、「津波が堤防に激突する音を聞きました」と震災の恐怖を絞り出すように語りました。

そして、「震災の後、多くの海外の方々に救いの手を差し伸べていただきました。将来は、国際貢献できる仕事に就き、人の役に立ちたいです」と、山本 有海(やまもと ゆう)さん(高1)。永渕 凛(ながふち りん)さん(高1)は「先生になって、子どもたちを正しく導きたい」、中居 友恵(なかい ともえ)さん(高2)は「私の夢は、子どもたちの心のケアとサポートをしたい」と、震災の経験を踏まえた上で見つけた夢を語ります。ルソー氏は、「世界に必要なものは平和であり、この世で最も大事なものは愛です」と、皆に語りました。この言葉は、皆の心にも、強く残ったに違いありません。

サポート・アワー・キッズ2019

 

ル・マン24時間レースは、TOYOTA GAZOO RACINGの連覇で幕を閉じました。表彰式で聴いた国歌、掲げられた国旗を見た時、子どもたちは何を感じたでしょうか。海外で見る日本人の活躍は、とっても感動的な思い出となることでしょう。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

その日の夜は、シャエーニュ村の方々もル・マン市に集まり、さよならパーティが行われました。村の人々との別れを惜しみ、「またいつか会いましょう」と涙ながらに抱き合っていたのが印象的でした。

サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019 サポート・アワー・キッズ2019

 

帰国~解散式

18日、成田空港に到着した一行はそのまま東京に向かい、解散式を行いました。会場となった東京国際フランス学園のホールには、学園の中学2年生の約30名と、フランス大使館のジャン=バティスト・ルセック公使らも参加。メンバーそれぞれが、目標の達成報告と自身が現地で得た経験などを発表しました。

ルセック公使からは、「皆さんが現地で体験してきた事の大切さと、肌で感じた両国の文化の違いなどを、これからの生活の中でぜひ役立ててほしいです」と挨拶。

サポート・アワー・キッズ2019

 

この後、発表の緊張が解けた子どもたちは同校内の食堂で生徒らと一緒に楽しいランチタイムを満喫し、弾ける笑顔とともに家族の待つ東北へと帰っていきました。

 

この「Support Our Kids」での経験を糧に今後、子どもたちがさらなる飛躍を遂げてくれることを、マツダも願ってやみません。

 

■今回のプログラムは、こちらの動画でも紹介しています。(YouTube)

 

■Support Our Kidsについて詳細は、こちらをご覧ください。(公式ホームページ)

http://support-our-kids.org/

 

サポート・アワー・キッズ2019

カテゴリー:イベント