MAZDA3:ポリメタルグレーメタリック&バーガンディ、新色開発の背景と想い
5月下旬に国内販売を開始した、マツダの新世代商品第一弾「MAZDA3」。
みなさまは、もう実車をご覧になりましたか?
ところで、時折見かけるこちらの内外装の組み合わせ、気になった方はいらっしゃるでしょうか?
今回はMAZDA3とともに登場した、ボディーカラー「ポリメタルグレーメタリック」とインテリアカラー「バーガンディ」。
それぞれの開発を担当したカラーデザイナーに、背景と想いを聞いてみました。
目次
ポリメタルグレーメタリック:
深化した「魂動」の造形を際立たせながら、新しい価値観を表現
2010年にデザインテーマ「魂動」の発表と時を同じくして、「色も造形の一部」という独自の思想で開発をしてきたマツダ。
「MAZDA3から、マツダのデザインは『繊細な曲面の変化によってダイナミックな造形』を実現する、深化した『魂動』第2ステージの表現に踏み出しました。その造形を際立たせながら新しい価値観を表現する色として創りだしたのが、ポリメタルグレーメタリックです。」
そう語るのは、ポリメタルグレーメタリックの開発を担当した、デザイン本部シニアクリエイティブエキスパートの岡本 圭一(おかもと けいいち)。
「マツダを象徴する『ソウルレッドクリスタルメタリック』や『マシーングレープレミアムメタリック』は、世の中にある『本当に美しいもの』の質感を追求して開発してきた色です。
一方、今回のポリメタルグレーメタリックの開発では、必ずしも万人が美しいと思わなくても、今までにない価値を見出すような感性を持った方に、新しさを感じてもらえるような色と質感を追求することにしました。」
樹脂と金属の複合をイメージして生まれた新しい質感
それでは、どのような発想からポリメタルグレーメタリックにたどり着いたのでしょうか。
「『MAZDA3ファストバックのような、新世代の造形における特徴的なデザインにフォーカスした、新しい質感表現にトライしてほしい』というオーダーが、色創りのスタートでした。まずは特徴的なドア断面の『ぬるっと』した曲面に、艶のある『ヌメリ感』を施したいと考えました。
それを端的に表現できる素材を想像していた時に、まず閃いたのは『融けた樹脂』。樹脂には高級なイメージはありませんが、表現方法によっては新しい見え方になると思ったのです。」
さらに、樹脂について考えを深めていくうち、頭によぎったのが「ポリ塩化ビニールのパイプ」でした。
「塩ビのパイプは、それ自体は美しいものと言えないかも知れません。しかし、あの色味やソリッド感などの質感が『クール』に感じられるのではないか。チープに見えがちな素材の表情の中に、新しさやカッコ良さがあるのではないか。例えば、ダメージデニムをお洒落に着こなす若者をターゲットにするような、そんな色も良いのではと考えました。」
しかし立体造形を際立たせるには、ただの樹脂の塊ではダメで、そこに金属の輝度表現を加えることを試みました。
「樹脂と金属、2種類の素材感が複合化された時に、何かおもしろい表情が出せると考えました。普段はソリッドな塊に、光が当たるとクルマ全体に立体感と異素材感が浮き上がるのでは、と。」
経験上、発色のための顔料と反射で金属感を見せる光輝材の、組み合わせと見え方の関係は理解していたという岡本。
塗料サプライヤーさんと一緒に十数種類を試し目指す質感の表現に近づけ、最終的には実車モデルに色を塗り判断して、ポリメタルグレーメタリックを創りあげました。
デザイナーとして、例えばどのような風景にマッチすると想像しているのでしょうか。
「例えば、古い倉庫をリノベーションした建物。部分的にモダンを取り入れ、新旧を上手く融合させた場所が、新しい価値として受け入れられていると思います。そういう場所で、この色も映えるのでは、と考えています。」
バーガンディ:
エモーショナルなエクステリアに色気を加える、「艶」のインテリア表現
深化した「魂動デザイン」が掲げる、「艶」と「凛」という2つのベクトル。
「この考え方に沿って、カラーデザインでも表現の幅を拡げることにチャレンジしたのが『バーガンディ』です。ファストバックのエモーショナルなデザインに対して、インテリアでも色気を加える『赤』を開発し、『艶』の世界を表現したいと考えました。」
と語る、バーガンディの開発を担当したデザイン本部プロダクションデザインスタジオの宇多川 舞(うたがわ まい)。
「私たちカラーデザイナーは、まず目指す世界観を描きます。こんなお客さまにこういう風にクルマを使って欲しい、クルマに乗ってこんな気持ちになってもらいたいという私たちの思いです。そこには、お客さま像やライフスタイルから来るイメージと、マツダのクルマだからこそ感じてもらえる独自のアート性、価値も表現しています。
MAZDA3のファストバックは『大人の品を持ちながらも、現状に満足することなく、常に挑戦する姿勢を持たれている方』と、お客さまを想定していました。そこでまず、そういった方の情熱をかき立てるような色にしたいなと考えたのが、開発のスタートでした。」
「青味」を加える、「赤」へのこだわり
では、その着眼点は、どのようなものだったのでしょうか。
「ファッションで例えると、赤が大部分を占める派手さや元気の良さを押し出したコーディネートではなく、仕立ての良いモノトーンのセットアップに靴だけ艶やかな赤を取り入れているコーディネートを見ると、ドキッとさせられませんか?そんなドキッとするような色気を、ドアを開けた時のインテリアで表現したいと考えました。
そこで、発色が良いだけの元気な赤ではなく、鮮やかながらも深みのある赤を創ることに挑戦しました。特に色相にはこだわり、色気を表現するために青味を加えています。そうして赤といっても、ピンキッシュでフェミニンな印象にならないギリギリのラインを攻めています。」
また、バーガンディという名前にも、その想いを込めました。
「最近ではファッションの世界でも浸透しているので、『バーガンディ』と聞いて、この鮮やかさと深みを併せ持ち、青みがかった赤色を思い起こす人も多いと思います。
加えて、そもそもの由来は、フランスのブルゴーニュ地方で作られるワインだそうです。ブルゴーニュのワインは、一つの品種のぶどうで作られるワインの中で世界一複雑な香りを持っていると評されています。そのピュアさと色気を併せ持っている点も、この色のイメージにぴったりだと思って名付けました。」
ポリメタルグレーメタリック × バーガンディ
ちなみに開発担当者として、2人はこの2色の組み合わせをどう考えているのでしょうか。
「クールでシックな外板色に、情熱的で色気のある内装色の組み合わせが、斬新で魅力的ですね。MAZDA3ファストバックのイメージにもよく合っていると思います。」と、岡本。
宇多川は、「外観は樹脂のぬめり感を感じさせる洗練された色。対して、ドアを開けると色気のあるエモーショナルな赤が目に飛び込んでくる。そのコントラストに、初めて見る人はドキッとすると思います。内外装で全く異なるテイストを組み合わせる大胆さが、私の好きなポイントです。」
と、それぞれ教えてくれました。
新しいボディーカラーとインテリアカラーの開発における背景と想い、いかがでしたでしょうか。
内外装の色も走る歓びの一つ。
お気に入りの組み合わせで、マツダのクルマが皆さまの生活を彩る存在になれば幸いです。
■マツダオフィシャルウェブサイト
MAZDA3 「エクステリア」
https://www.mazda.co.jp/cars/mazda3/design/fastback/
MAZDA3 「インテリア」
https://www.mazda.co.jp/cars/mazda3/interior/
■マツダ公式ブログ:MAZDA3関連記事
新世代商品第一弾、「MAZDA3」の国内販売を開始!
https://blog.mazda.com/archive/20190524_01.html
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