MAZDA BLOG
2019.11.28

【GA型「グリーンパネル」】三輪トラックの社内レストアプロジェクトの様子をお届けします!

「三輪トラック」をご存知ですか?

戦前から戦後、マツダでは1931~74年にかけて製造され、4輪車が普及するまで当時の日本各地の物流を支える存在として活躍。

「オート三輪」の呼び名でも知られ、マツダを含め各社から大小さまざまなモデルが登場しました。

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア
1957年ごろのマツダ(当時は東洋工業)工場、HBR型/MAR型三輪トラック生産の様子

 

2015年に始まった、マツダの社内レストアプロジェクト「One Mazda レストア」。

社内公募制の有志メンバーにより、歴代名車の復元を通してマツダに伝わる哲学や思想を直接肌で感じ、次世代へ伝承することを目指しています。

第1弾では1967年発売の「コスモスポーツ」、第2弾では1960年発売の「R360クーペ」、第3弾では1969年発売の「ルーチェロータリークーペ」、第4弾では1980年発売の初代FF「ファミリア」と、マツダの歴史を彩る名車を1年がかりでレストアしてきました。

 

そして今年は、来たるべき2020年1月30日のマツダ創立100周年に向けて、自動車会社としてのマツダの原点たる三輪トラックの修復に挑んでいます。

車種は「GA型」、通称「グリーンパネル」(1947年式)。

1938年~1949年まで販売され、戦前から戦後をまたいで活躍した、マツダの三輪トラックを代表する車種の1つです。

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア
マツダ三輪トラックGA型「グリーンパネル」

 

今回のブログでは、7月に始まったレストアの途中経過について、8月と11月時点の様子をお伝えします。

3カ月の経過・変化も含めて、お楽しみください。

 

 

高校生レストア体験イベント

まずは8月に行われた、高校生の皆さんにご参加いただいたレストア体験の様子です。

将来の自動車産業を担う可能性のある若い皆さんに、モノ造りの奥深さや働く事の意味・やりがいを感じていただきたい。

その想いのもと、地元広島の高校の学生さんに、実際にクルマに触れてレストアの作業を体験してもらっています。

 

この時の進捗は20%ほど。

やっと分解し終えたパーツを、再塗装や再組み立てに向けて、万全の状態に仕上げなくてはなりません。

そのためのサビ落としなどの作業を、高校生の皆さんに手伝って頂きました。

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

 

70年の長い年月を感じさせるフレーム。

高校生の皆さんにより、丁寧にサビが落とされていきます。

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

 

荷箱もサビが目立ちます。

サビ付いて回らないネジはハンマーで叩いて、丁寧に外していきます。

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

 

クルマの心臓となる、エンジンや駆動系の部品。

古いクルマの普段は見えない部分を、興味深そうに磨いている姿が印象的でした。

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

 

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

別の保存車を使った、「グリーンパネル」についての説明も実施。

当時の時代背景や、このクルマの特徴、果たしたであろう役割を、高校生の皆さんにお伝えしました。

 

 

普段は自動車部として、現代のクルマに触れる機会は多いという、参加された高校生の皆さん。

「滅多に見ることがない、ましてや分解や整備をする機会も無いような古いクルマを、内部までじっくり見ることができてワクワクしました。」

「当時の技術を駆使した先人達の知恵や工夫を直に見ることができたと同時に、今日に至るまでのクルマの進化も感じることができました。」

など、嬉しそうに感想を語ってくれました。

 

 

3カ月経って

そして直近、この11月の状況はこちら。

進捗としては60~70%ほどの状態です。

 

フレーム・荷箱・ボディーのパーツは綺麗に再塗装されていました。

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

 

駆動系のパーツも、組み直しに向けた作業が進みます。

ホイールは、塗装より固く鉄より柔らかい砂を吹き付ける「サンドブラスト」で、塗装はがしが進められていました。

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

 

 

当時も「人間中心」思想!?

グリーンパネルの特徴の1つが、タンク上に配置されたシフトレバー。

実は、タンクの中に穴を通して設置されています。

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストアマツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

これは当時の三輪トラックにおいても、珍しい設計だったそう。

1938年5月発行の「マツダニュース」という冊子を見ると、シフト位置が見やすいこと、操作時の身体の動きが少なく楽なこと、補助席に乗員がいても操作時に当たる心配がないこと、ハンドルを切りながらどちらの手でも操作できること、などの目的が記述されています。

現代のマツダが掲げる「人間中心」の思想は、三輪トラックの時代からあったのかも知れませんね!

 

 

現在も着々と進む、三輪トラックのレストア。

車両組み立ての完成目標は、来年の1月末とのこと。

公式ブログでも、完成のご報告を予定していますので、お楽しみに!!

マツダ GA型「グリーンパネル」三輪トラック 社内レストア

 

過去の社内レストアプロジェクトについては、こちらをご覧ください。(公式ブログ)

■【社内レストアプロジェクト】赤い「ファミリア」が完成しました!
https://blog.mazda.com/archive/20190411_01.html

■【社内レストアプロジェクト】「マツダ ルーチェロータリークーペ」完成!!
https://blog.mazda.com/archive/20180320_01.html

■将来のモノ造りを担う地元広島の高校生、ルーチェロータリークーペのレストアを体験!
https://blog.mazda.com/archive/20171011_01.html

■【R360クーペ レストアプロジェクト】レストア作業で過去から未来へ志を繋ぐ
https://blog.mazda.com/archive/20170124_02.html

■【R360レストアプロジェクト】高校生と共に伝承されるマツダのDNA、モノ造りの奥深さを学ぶ。
https://blog.mazda.com/archive/20161122_01.html

■コスモスポーツレストアを通じて肌で感じるマツダの歴史 ~地域一丸となって過去から未来へ繋げる哲学と思想~
https://blog.mazda.com/archive/20160115_01.html

■マツダのDNAを伝承!将来のモノ造りを担う高校生がコスモスポーツのレストアを体験
https://blog.mazda.com/archive/20150903_01.html

カテゴリー:クルマ , ストーリー