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2021.8.19

ボディカラー「プラチナクォーツメタリック」の誕生秘話~CX-8より導入~

マツダは「カラーも造形の一部」という思想で、色と造形の一体表現を重視した開発に取り組んでいます。

今回は2021年2月に販売開始したCX-8から導入し、ご好評をいただいているボディカラー「プラチナクォーツメタリック」の誕生秘話をご紹介します。
※一部グレードのみ

 

ボディカラーは、国によっても趣味嗜向が異なり、お客さまやクルマの使い方など、様々なニーズに応えていく役割があります。

「プラチナクォーツメタリック」の色に込めた想い、開発の経緯や色の特長を、マツダのカラーデザイナーとエンジニアが語ります。

 

カラーも造形の一部という思想で、マツダが目指す色とは何かを突き詰める

「私はカラーデザイナーとしてボディカラーの開発を担当しています。マツダでは魂動デザイン以降、全ての色に一貫して“カラーも造形の一部”という考え方で、カラー開発をしています」

デザイン本部 プロダクションデザインスタジオ 寺岡俊丞(てらおか  しゅんすけ)

 

「プラチナクォーツメタリックの色開発は、2019年にポリメタルグレーメタリックを導入した際に、若手のデザイナーも交えて、次にどんな色が必要かを考えたところが出発点でした。

ボディカラーの開発はさまざまな視点を持ちながら開発しますが、当時のボディカラーのラインアップをみたときに、より華やかさや高級感が伝わるような色が欲しいと考えました。

 

私たちが目指す華やかな雰囲気の色とはどんなものか。

まずはアイデアインスピレーションを行いました。これはどのカラーを検討する際にも行っている工程で、具体的には様々な写真や、サンプルを手に取り、選定していくアプローチです」

*色検討時の車両のため、量産車および色選択可能なグレードとは異なります。

 

「今回、サンプルの中にはチタンが焼けたようなものや、水、化粧品のクリームのようなものまで、さまざまなものがありました。そこから一目見て“華やか”と感じるものは何かという観点で、ふるいにかけた結果、多く残ったのは貴金属類や鉱物類でした。

その中でも、最もわかりやすいと感じたのが“プラチナ”の色でした。
明るく金属光沢もあって、ほのかにゴールドがかっていて、美しく、最もチームメンバーの中でビビッときました。当時のラインアップにおいても存在感があり、本命視して進めていきました」

 

プラチナだけでは足りない、着想のヒントになったもの

 

「実はプラチナクォーツメタリックのような色の検討は過去にも行ったことがありました。
ただ当時は、我々のブランドが目指すエレガンス、洗練された雰囲気に合わないという印象でした。華やかに感じていただきながらも、品良く見せることが難しかったためです。

一般的には色味や金属光沢を抑えていくと落ち着いたものになりますが、同時に、コントラストが弱くなり、私たちが目指す造形美に仕上がらなくなってしまいます」

 

*色検討時の車両のため、量産車および色選択可能なグレードとは異なります。

 

「そこで、プラチナのイメージに加えて何かが必要だと考えました。
再度、アイデアインスピレーションの過程に戻り検討を行う中で、鉱物の中でも半透明感の質感をもった、美しいクォーツ(水晶)写真と出会います。 

プラチナとクォーツ(水晶)を組み合わせることで、目指す最終的な色が決まりました。
ハイライトでは、しっかりゴールドの色味が感じられ、ぬくもりある光沢感を持ちながら、陰にかけてストーンと黒く落ちるのではなく、なだらかに明度が変化していく質感に注力しました」

 

色づくりの決め手は、デザイナーの創造性

 

「今回のボディカラーは、プラチナにクォーツの半透明感を組み合わせたように、デザイナーの創造性が色の決め手につながっています。

私の趣味はDIYなのですが、色々なものを自分の手で触って材料や素材の特性を理解することが、実は仕事に活きていると考えてます。例えば錆びた鉄や接着剤の色、道端にころがっている石や、木を切ったときの断面の色合いにさえも、何か発見があったりするものです。

そのような意識を持つことが、色々な発想につながっていくと思っています」

 

*色検討時の車両のため、量産車および色選択可能なグレードとは異なります。

 

実現したい色を伝えるために意識したこと

 

「デザイナーが描くものは抽象的で、言葉だけでは伝わらないことが多くあり、塗装技術のメンバーへどう伝えるか毎回苦慮しています。
例えば、ビジュアルを見せるなどしながら、プラチナの持つメッセージ性と、クォーツの半透明感の上品な雰囲気を分解して伝えることを意識しました。

今回のように、プラチナやクォーツといった異なる素材を組み合わせた表現を追求しているものは、世の中に存在しないのですごく難しいんですよね。また、クルマのカラーは、単純に綺麗なだけではだめで、色の退色、傷のつきにくさなどを考慮する必要があります。

そこで早い段階から、塗装技術のメンバーともコミュニケーションをとりながら色の開発に取り組みました」

 

部門の壁を越えて、「共創」で取り組む色づくり

「色の開発においては、デザイナーがイメージを作っている段階から、我々も共有してもらっています。それによって、今デザイナーはこんなことを考えているんだなということを理解していきます」

技術本部 塗装技術グループ 常岡辰夫(つねおか たつお)

 

「一般的に、デザイナーが考える発色やイメージと、量産車の色を一致させることは難しく、デザイナーから設計、開発、塗装技術と、バトンタッチで開発をしていく中で、知らず知らずに色が変わっていってしまうリスクがあります。

しかし、マツダでは色の開発においても各部門のメンバーが部門の壁を越えて「共創」で取り組んでいます。これはデザイナーのもつイメージや、お客さまに届けたい提供価値を、そのままクルマの塗膜に反映させられるプロセスだと感じています」

 

プラチナクォーツメタリックの色のイメージを聞いて

 

「当時のカラーラインナップにはなく、シルバー調だけど淡い色味をもったカラーで、お客さまにも新鮮な印象を持っていただけるのでは、と思いました。

マツダのカラーの特長でもある緻密で繊細な質感を持ちながら、より上質で華やかな美しさを兼ね備えられるように開発を進めていきました」

 

 

「デザイナーのイメージを、光学特性(光の反射など)に変換することで、具体的なカラーに落とし込んでいきます。今回のカラーは、金属を削りだしたような緻密さと、反射の光の強さが緩やかに変化するのが特長です。
塗装する過程での塗料成分の動き方も計算して、光学特性のシミュレーションを活用して計算し、アルミフレークや、マイカといわれるパール顔料の配合を検討しました」

 

塗装する過程で苦労したところとは

 

「塗膜の構造としてはポリメタルグレーメタリックに近く、これらのカラーは緩やかに明度、陰影感、色味が変化するという特長があります。これを実現するために、アルミフレークの角度をきれいに並べるのではなく、若干の傾きをつけることによって、メタリック調が強くなりすぎないようにしています。

 

それによって、色味も残しながら、魂動デザインのうねりの映り込みの美しさを際立たせる効果を出しています。加えて、プラチナクォーツメタリックは全体的に明るくて、かつ淡い色合い持っているので、アルミフレークの角度が少しでもずれると、見る角度での明るさ、色味の変化の度合いが大きく変わってしまいます」

 

*色検討時の車両のため、量産車および色選択可能なグレードとは異なります。

 

「またボディとバンパーなどのパーツは別々の塗料で塗るため、色をぴったりと合わせることが難しく、その点が課題でした。一台の車として見たときに、同じ見え方にするため、塗料の設計や塗り方を工夫しました」

 

下:バンパー素材 上:ボディ素材(鉄板)

 

「そこには、匠塗の技術や2コートの塗装など、これまで培ってきた我々の技術を活用しました。
例えば今回は、反射を出しているアルミフレークを塗膜の中に一定の角度で並べていくといった匠塗の要素技術を使うことで、プラチナクォーツメタリックの量産化を実現しました」

 

参考:匠塗の要素技術の説明(ソウルレッドクリスタル)

 

「このように、マツダのカラー開発は、デザイン、開発、塗装技術など関わるメンバーの方向性を合わせ、そこに向かって突き進んでいくような形で、カラーを決めていきます」

 

最後に、2人へ今後挑戦したいことを聞きました。

 

「クルマ以外の商品も同じですが、色はとても強いメッセージ性を持っています。マツダとして新しい商品を世の中に送りだすとき、それに引き込まれることがボディカラーの一番の勝負、魅力を出し切るポイントだと思います。

どうしたらお客さまの感情やエモーショナルな領域へデザインで訴えかけることができるか。一目見て、その印象が決まるという重要な役割、責任を持っているからこそ、これまでにはない新しい色、価値を創出していかなければと感じています。これからも、その実現のために全力でデザインをしていきたいと思います」(寺岡)

 

 

「常にお客さまの期待を超えるような独自のカラーを今後も追求していきたいと思います。
また、塗装技術領域としては、カーボンニュートラルなど地球規模での環境対策も非常に重要な取り組みです。環境にやさしい生産工程を実現しながら美しい色も出していく、この両立を実現するために、モノづくり技術の革新に挑戦していきたいです」(常岡)

 

今回はマツダのカラー開発についてご紹介させていただきました。皆さま、いかがでしたでしょうか。

これからもマツダは環境にやさしくて美しい色を目指し進化していきます。どうぞご期待ください。

 

■CX-8の車種サイト(マツダオフィシャルサイト)
https://www.mazda.co.jp/cars/cx-8/

■MAZDA2の車種サイト(マツダオフィシャルサイト)
https://www.mazda.co.jp/cars/mazda2/
※CX-8およびMAZDA2共に、一部グレードにて「プラチナクォーツメタリック」が選択できます。

カテゴリー:クルマ , デザイン , ストーリー