MAZDA BLOG
2021.2.3

MX-30プロジェクトストーリーVol.4 ~サステイナブルな素材が生み出す心地よい室内空間

「MAZDA MX-30」に込めた想いやこだわりをお届けする「MX-30プロジェクトストーリー」。

今回は、MX-30の室内空間に使われている、環境に配慮した素材についてご紹介します。

 

 

 

“心がととのう”室内空間を実現するサステイナブルな素材

まず、MX-30の室内に使う素材を開発するにあたって、マツダが共通の目標として掲げたのが、「自然体であること」、「新しいこと」、そして「サステイナブルであること」の3つでした。

「自然体であること」は、MX-30のコンセプトです。
肩肘張ることのない、穏やかな心地よさを感じられる素材を採用したいと考えました。

2つ目の「新しいこと」は、このクルマのミッションです。
開発当初からMX-30には、『マツダ独自の新しい価値を創造する』というミッションが与えられていました。MX-30は、今までにはない、けれどもどこか親近感を感じられるような素材を探求しました。

最後の「サステイナブルであること」は、マツダの電動化をリードするクルマとして、そのクルマを構成する要素に可能な限りサステナビリティを取り入れたいと思いました。

この3つの目標を実現した素材が、MX-30に採用されている
「ヘリテージコルク」、「呼吸感素材」、「プレミアムヴィンテージレザレット」です。

これらの素材の特長を一つずつご紹介します。

 

 

 

親しみやすく温もりのある素材―ヘリテージコルク―

ワインの栓など日常生活の中でも見かける身近な存在、コルク。

コルクは、コルク樫の表皮から採取されますが、その過程で樹木を伐採することはなく、繰り返し採取することが可能です。MX-30で使用されているコルクは、コルク栓を生産した端材を製品に使用しています。

そのサステイナブルな特性に加え、独特の触感や温かみのある見た目、親しみやすさ、そして新しさもあり、はじめに掲げていた3つの目標すべてを実現できる素材でした。

 

 

また、マツダは1920年に「東洋コルク株式会社」としてコルクを製造する会社として創業しました。マツダにとってコルクはヘリテージ素材です。この歴史が、創業100周年の節目にデビューするMX-30に、コルクを使用することへの後押しになりました。

しかし、コルクをクルマの内装として採用することには、衝撃や水、紫外線などへの耐久性の面など、いくつかの技術課題がありました。

そこで、耐久性を確保するにあたり、3つの工夫をしました。

 

1つ目はコルクの粒の大きさです。

日本では、通常コルクは粒が揃っているほど良いと言われています。しかし、それではコルクの粒と粒の間に隙間が空いてしまい、耐久性が確保できません。

そこで、あえて大小異なる粒を使用し、小さな粒が大きな粒同士の隙間に入るように敷き詰めました。これにより、結合力が高まり、クルマの内装に使うために必要な耐久性を実現しました。

 


(左:粒の大きさが揃っているコルクシート、右:大小のコルクを組み合わせ、敷き詰めたコルクシート。
左のコルクシートには隙間があるため、光にかざしたときに、光が漏れている)

 

 

2つ目は、成型技法です。
コルクは高い密着性が確保しにくく、ベースとなる樹脂にコルクを張り付けただけでは、コルクがはがれてしまいます。

そこで、サプライヤーさんと協力しながら、ベースとなる樹脂がコルク粒の間に入り込むように一体で成型する技法を考案し、コルクがはがれないようにしています。

 

最後は、コーティングです。
コルクは紫外線に弱く、表面の強度も確保しなければなりません。そこで、コルクの表面に、専用塗料でコーティングを施しています。これにより、必要な表面強度を確保しながらも、コルクらしさを失わない触感と見た目を実現しました。

MX-30では、素材本来の温もり感のある見た目と手触り、そしてクッション性といったコルク素材の特徴を活かして、コンソールトレイ部とドアグリップに採用しています。

 

 

 

人間の呼吸からの着想―呼吸感素材―

MX-30に採用したサステイナブルな素材の2つ目は「呼吸感素材」です。

ドアトリムの上部に使われているこの素材は、ペットボトルのリサイクル原料を素材とし、繊維の立ち方や密度、色などを専用設計した繊維素材です。

モノ自体が空気を含んだかのような風合いから、マツダでは「呼吸感素材」と呼んでいます。

 

 

「呼吸感素材」の発想の原点は、人間の呼吸です。

心を落ち着かせるとき、人は深呼吸をします。呼吸は、速さや方法が人によって異なるためムラがあり、温もりもある。
人が呼吸をする、その姿こそが、まさに「自然体」だったのです。

そこから実際の素材を連想したときに最初に着想したのは和紙でした。
大小さまざまな繊維が絡まり合ってできる和紙は、不均一で、どこか温もりを感じさせる素材です。

しかし、クルマの部品として和紙を採用することは、耐久性の面で非常に難しく、そのため、さまざまな素材を検討した結果、最終的にペットボトルのリサイクル原料を素材とした不織布にたどり着きました。

 

 

リサイクル素材は同じものを均一に作れないことがあります。そのような素材の特徴を生かしてデザインしました。

色は、濃淡をつけることにより、ムラを表現。また、起毛させることにより、空気を含んでいるようなつくりにしています。

素材は和紙ではありませんが、繊維の絡み合いが生み出す不均一さ、そこから感じさせる温もりなど目指した表現を実現しました。

 

 

インテリア素材の新たな提案 ―プレミアムヴィンテージレザレット―

最後にご紹介するのは、「プレミアムヴィンテージレザレット」です。
インダストリアルクラシックのインテリアカラーに採用した、ブラウンの人工皮革です。

 

 

近年、人工皮革の技術と品質は飛躍的に向上しています。
さまざまな表情を造り込むことができ、コーティングの量も少なく済むのでダイレクトな触感を楽しむことができるのが特長です。

MX-30では、人工皮革により、素材の奥行き感のある見た目と、心地よい手触りを実現しました。

 

 

さらに、生き物から採取することなく、また生産工程の中で有機溶剤を使うこともないため、サステイナビリティの観点でもまさにMX-30に相応しい素材なのです。

「自動車の内装素材は、本革がもっとも高級」という既成概念を覆す、新たな提案です。

 

心がととのえられ、自然体でいられるクルマ、MX-30。ぜひその魅力を実車にてご体感ください。

 

 

■MX-30車種サイトはこちら(マツダオフィシャルサイト)
/https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/

■MX-30プロジェクトストーリー(マツダ公式ブログ)
Vol.1:常に自分らしく自然体でいられるクルマとは?
https://blog.mazda.com/archive/20201127_02.html

Vol.2:魂動デザインの新たな可能性への挑戦
https://blog.mazda.com/archive/20201214_01.html

Vol.3:フリースタイルドアの採用
https://blog.mazda.com/archive/20210118_01.html

カテゴリー:クルマ , デザイン , ストーリー
この記事をご覧いただいた方へおすすめ記事