MX-30 プロジェクトストーリーVol.3 ~フリースタイルドアの採用
「MAZDA MX-30」の開発者やデザイナーがこのクルマに込めた想いやこだわりをお届けする「MX-30プロジェクトストーリー」。
今回は、MX-30の特長の一つである「フリースタイルドア」についてご紹介します。
まずは、こちらの動画をご覧ください。
「フリースタイルドア」とは、センターピラーの無い観音開きドアのことです。
マツダは、2003年に発売した「RX-8」でフリースタイルドアを採用していましたが、現在では世界の自動車メーカーを見ても、採用しているモデルは非常に少なくなりました。そんな中MX-30では、なぜフリースタイルドアを採用したのでしょうか?
MX-30の開発でフリースタイルドアを担当した伊藤祐貴(いとう ゆうき)が、その理由をご紹介します。
シンプルかつ流麗なデザインと“塊感”の追求
MX-30では、デザインコンセプトの「ヒューマンモダン」に基づいて、シンプル、かつ流麗なデザインを目指しつつも、魂動デザイン特有の『塊感』の表現にもこだわりました。
通常形状のドアだと、ドアの開口を十分確保するためにDピラーを後方へ移動させる必要があり、どうしても箱のような角張ったデザインになってしまいます。
乗降性も確保しつつ、塊感のあるモダンなデザインを実現する方法がないか。
たどり着いたのが、フリースタイルドアの採用でした。フリースタイルドアだと、後部座席の乗員は前方に向かって降りることができるため、Dピラーを傾けても乗降性を確保できます。
荷物の出し入れや後席へのアクセスなど、日常の動きをよりスマートに。また、後席へのアクセスといった日常の動きをスマートにしたいと考えました。
フリースタイルドアの後席へアクセスする時は、運転席のドアを開けてから後席のドアを開きます。後席側に移動することなくリアドアを開閉することが可能なため、後席に簡単に荷物を置くことができ、またそのままの位置で運転席に乗り込むことができます。
また、お子さまを後席のチャイルドシートに乗せる際も、センターピラーがないため、楽にアクセスができ、無理な姿勢をすることなく、スムーズに乗せていただけます。
日々の使い易さをサポートするためにさらに工夫も。
フロントドア開口角度は、現在のマツダ車の中で最も大きい82°。リアドアの開口角度80°と合わせるとほぼ垂直に開くため、その見た目のインパクトだけでなく、乗り降りや後席への荷物の積み降ろしやすさはもちろん、幅広いシーンで、その使い勝手の良さを感じていただけると思います。
このような理由で採用されたフリースタイルドアによって、デザインに妥協することなく、「心が整えられる空間」と日々の「使い勝手」を両立することができました。
安心してお使いいただけるMX-30をめざして
そして、安全性にも妥協せず、つくり込みました。例えば、横からの衝撃吸収。
フリースタイルドアには、横からの衝撃を吸収するセンターピラーがありませんが、補強部材を後ろのドア内部に縦方向に配置することで、側面からの衝突に対しても、衝突エネルギーをしっかりと受け止めた後、開口部へと効率的に分散させる構造としています。
これにより、センターピラーのあるボディ同等の強度とエネルギー吸収効率を実現しています。
ただ、こうした構造は、ドアの構造体としての面積を大きく取るため、どうしても窓の面積は小さくなりがちです。MX-30でも、開発の初期段階ではリアウィンドウは小さな丸形でした。しかし、窓が小さいと後席に座る方が閉そく感を感じてしまうため、ドア周りの補強構造を含めて大掛かりな再検討を行いました。
その取り組みによって、MX-30はフリースタイルドアならではのデザインや開放感と、優れた安全性を両立することが出来たのです。
また、運転時の視界確保にも工夫をしています。ドライバーが斜め後方を確認するときに気になるのがヘッドレストですが、MX-30ではヘッドレストの厚みでリアウィンドウが隠れないよう、前席のヘッドレストの形状を薄くする工夫なども行いました。
いかがでしたでしょうか?
ぜひ、フリースタイルドアの開放感や使いやすさを、実車でご体感くださいね。
■MX-30車種サイトはこちら(マツダオフィシャルサイト)
https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/
■MX-30プロジェクトストーリー(マツダ公式ブログ)
Vol.1:常に自分らしく自然体でいられるクルマとは?
https://blog.mazda.com/archive/20201127_02.html
Vol.2:魂動デザインの新たな可能性への挑戦
https://blog.mazda.com/archive/20201214_01.html