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2021.1.15

レストアプロジェクト、ついに完結!GA型三輪トラックの歴史を振り返ります

2015年に始まった、マツダの社内レストアプロジェクト「One Mazda レストア」。

マツダに伝わる哲学や思想を直接肌で感じ、次世代へ伝承することを目指して、2015年から歴史的なクルマ4台(コスモスポーツ、R360クーペ、ルーチェロータリークーペ、初代FFファミリア)を走行可能な状態にレストア(復元)してきました。
そして創立100周年を迎えた2020年に、本プロジェクトが完結しました。今回のブログでは、プロジェクト最後の1台としてレストアされた「GA型三輪トラック」の歴史を振り返ります。

 

(レストアされたGA型三輪トラック)

 

1930年に単車の試作、販売を経て、三輪トラックを作りはじめた当時のマツダの社名は、東洋工業。
現在はほぼ見ることのない三輪の自動車ですが、当時は多くの会社から販売されていました。駆動系に外国産部品を使ったメーカーもありましたが、マツダは、エンジンやフレームの自社開発で技術を磨き、市場での販売規模を広げていました。すでに1932年には大連、奉天、青島への三輪トラックの輸出もはじめています。

(1931年DA型三輪トラックを生産開始)

 

最初に発売されたDA型三輪トラックの積載重量は200kg。その後DB型、KC36型などの新型の三輪トラックを投入していく中で排気量や最大積載重量を増やし、性能を高めていきます。

 

 

ペットネーム「グリーンパネル」に込められた想い

そして、1938年5月にGA型三輪トラックを発売しました

 

「グリーンパネル」というペットネームは緑色の計器盤に由来します。そこには「青春はつらつ、平和安全」の願いが込められていました。

(レストアされたGA型三輪トラック)

 

GA型は、東洋工業が自社技術で作ることにこだわった空冷単気筒669ccエンジンを搭載しました。
操作性を高めるセンター配置の4段変速機、シャフトドライブ、流線形のハンドルバー、高剛性フレーム、リーフスプリング式サスペンションなどが採用されています。
またGA型は、新開発の4段変速機を搭載して燃費性能を高めていました。

(頑丈なフレーム構造。荷台の底板を外すとリアデフが見える)

 

東洋工業は、1940年には小型四輪乗用車を試作しましたが、量産に至らず、初めての四輪乗用車の販売は、1960年発売のR360クーペまで待つことになります。

(試作四輪乗用車)

 

当時は戦時下で、経済統制もあり自由な生産活動は難しい状況。三輪トラックについては少量の生産が続けられましたが、燃料の節約から代用燃料で動くタイプの開発も行われました。

(GA型アセチレン瓦斯発生装置付き)

 

復興を支えたGA型三輪トラック

1945年夏、広島市街は原子爆弾により壊滅的な被害受け、東洋工業の従業員やその家族にも多くの被害が出ました。本社は爆心地からやや離れた立地であり、倒壊したり屋根を吹き飛ばされた建物もありますが広島市街と比べれば被害が抑えられていました。爆心地近くにあった公的機関や放送局の事務所は、一時マツダ敷地内に設けられました。

終戦後も日本中で物資不足は深刻でしたが、多くの方が自動車を必要としていました。のちに社長(当時専務取締役)となる松田恒次も自ら資材調達のため奔走するなどし、終戦から4カ月後の1945年12月にはGA型三輪トラックの生産を再開させました。荒廃した国土の復興を多くの人が願い尽力する中、三輪トラックも走りはじめます。

このGA型は戦前から戦中、戦後を通じて11年間生産されるという稀有な車歴となりました。

GA型の戦後モデル(幌付き))

 

その後、三輪トラックは、市場のニーズから販売を拡大し、屋根や丸形ハンドルを装備、エンジンの排気量や積み荷の積載重量を増やすなどして車体の大型化が進んでいきました

(GB型)

 

1949年にGB型にモデルチェンジ。
701ccエンジンとトランスミッションを一体でアルミ鋳造するなど設計を工夫しました。三輪トラックの輸出が再開され、インドへの輸出を開始。その後の四輪車の開発への礎を築きました。

(1950年三輪乗用車PB型発売(6人乗り))

 

(1950年CA型四輪トラック(1トン積み)発売、やがて四輪車の開発が加速していく)

 

 

このような歴史を刻んだ「GA型三輪トラック」。自由にクルマを生産することさえ困難な時代から80年の時を経て、昨年レストアされました。

コロナ禍のため公開が限定されましたが、2020年7月のオートモビルカウンシルや9月のメディア対抗ロードスター4時間耐久レースで(無観客実施)他のレストア車両とともに走行しました。


オートモビルカウンシルでの展示風景)

 

この車のレストアをするために社内公募で集まった有志メンバー9名を中心に、広島県内の高校生や関連企業の支援を受けながら1年をかけて修復しました。(レストア作業についてはこちらをご覧ください)

 

レストアメンバーは、今回のプロジェクトについてこう振り返ります。

「走っているのを見たこともない車でしたが、現在のクルマづくりに共通するようなデザインへのこだわりや、安全性の配慮などを確認でき、驚きの連続でした」
「クルマ全体を見通すような仕事が新鮮でした」
「作業を進める中での謎を解明するため、過去の資料を何度も見比べました。そのような、繰り返しから、貴重な出会いや発見もありました」
「多くの人に見てもらい、マツダの歴史を感じてもらいたいです」

 

(2015年からのレストアプロジェクトでよみがえったクルマたち)

 

戦前に誕生したクルマで、今ではシンプルな構造に見えるかもしれませんが、マツダのクルマづくりへの想いをストレートに感じていただける1台です。

今後、もっと近くで多くの方に見ていただける機会を設けられたらと考えています。

 

これまでのレストアの様子はこちらをご覧ください。

■コスモスポーツレストアを通じて肌で感じるマツダの歴史 ~繋げる哲学と思想
https://blog.mazda.com/archive/20160115_01.html

■R360クーペ レストアプロジェクト:レストア作業で過去から未来へ志を繋ぐ
https://blog.mazda.com/archive/20170124_02.html

■レストアプロジェクト:「マツダ ルーチェロータリークーペ」完成!
https://blog.mazda.com/archive/20180320_01.html

■レストアプロジェクト:赤い「ファミリア」が完成しました。
https://blog.mazda.com/archive/20190411_01.html

■GA型「グリーンパネル」、三輪トラックのレストアの様子をお届けします。
https://blog.mazda.com/archive/20191128_01.html

カテゴリー:モノ造り