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2012.4.13

【CX-5のデザインができるまで #1】チーフデザイナー中山さん

この記事は、過去Facebookに掲載した記事です。

 「CX-5のデザインができるまで」

第1回目はチーフデザイナー中山さんに、デザインが完成するまでのプロセスについて話を聞きました。

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<プロセス1:コンセプト作り>
“この商品がどこに狙いを定めるのかを決める”

 デザインプロセスの一番最初の作業は、チーフデザイナーが中心となって、どんな商品像にするかを考えること。それは、この商品がどこに狙いを定めるか、そこを決めることなのです。
主査とチーフデザイナーは商品と運命を共にする覚悟で考えています。昔、上司から「チーフデザイナーはデザインコンセプトを考えるのが仕事だ」と聞かされたのですけど、若いときはよくわからなかった。だけど今ならよくわかります。極端に言えば、確かなデザインコンセプトを作ることができれば、チーフデザイナーはあとは何もしなくていいかもしれない、ぐらいに最初の重要な仕事なのです。チーフデザイナーが一番悩まなければいけないところです。
(CX-5の具体的なコンセプト作りに関しては、次回に詳細掲載予定です)

<プロセス2:スケッチを描く>
“何百枚ものスケッチから選ばれる”
コンセプトを考えたら、いよいよスケッチを描いていきます。
エクステリアデザインでは、まず本社でリードデザイナーとデザイナーで4人ぐらいのチームを作り、全員でアイデアを広げます。平行して、海外拠点にもスケッチを描く依頼を出しますが、大袈裟じゃなく、本当に何百枚ものスケッチが届きます。広報的に世の中に出すのは1枚か2枚ですけど(笑)。
その中から選び出されたスケッチからスケールモデル(縮尺モデル)を作ります。
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<プロセス3:スケールモデルを作る>
“小さくても経験と想像で実物大が見える”

デザイナーは皆、モデルが小さくても、実物大になった時の見え方が想像できるので、まずは作りやすく、変更も柔軟に対応できるスケールモデルで検討していきます。みんな小さいモデルが大きくなったときの見え方の違いが経験的にわかっているので、これが大きくなったらこんな感じかな、だったらこのぐらいのカーブにしておこうとか、そんな風に考えながら進めます。

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<プロセス4: 1/1クレイモデルを作る>
“クレイの消費量が世界一!?”

ヨーロッパでは昔は実物大のモデルを石膏で作っていて、基本的にやり直しをあまりしなかったのだそうです。でも、マツダはデザインに非常にコダワるので、クレイを盛っては削り、盛っては削りとなります。クレイを納入する業者さんから、マツダは車種が少ないのにクレイの消費量が世界一ではないかって言われたことがありますね(笑)。それだけの作業量とコダワリで鍛えられているマツダのクレイモデラーは、世界一のスキルだと思います。どこの会社へいってもトップをはれるでしょうね。

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<プロセス5:デジタルモデリング>
“デジタルモデラーの先祖は船の設計士?”

クレイモデルでの作業が終わると、そのデータを3次元データにするデジタルモデリングという作業に入ります。厳密にはクレイモデルとデジタルモデルを行き来しながら、最終的なデータを作っていく作業になります。場合によってはクレイより先にデザイナーのスケッチを見て、いきなりデータを作ることや、インテリアの天井など3Dのデータだけで作る部品もあります。
今のデジタルモデラーのルーツを辿ると、ボディ形状を手描きで図面に置き換えるプロ集団でした。造船が盛んな瀬戸内にマツダはあったので、元々は船の会社で線図という、船の断面図を描いていた人たちがマツダに入って車の図面を引き始めたと聞いています。その後、図面は三次元データとなり、今日の形態になっています。

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<プロセス6:カラーデザイン>
“カラーのスタートはなるべく遅く”

カラーデザインの仕事には、ボディのカラー開発とインテリアの素材開発の大きくは2つがあります。一般的にデザインの開発はなるべく後ろに引っ張った方がいいんです。発売のギリギリ。例えば、今日発売するんだったら、昨日デザインするのが一番いい。なぜなら一番旬なものを出せるからなんです。カラーデザインは、量産までの開発期間がエクステリア、インテリアに比べると短くできるため、相対的にスタートを遅くする形にします。

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そして、ファイナルモデルの完成へ。

「CX-5のデザインができるまで」では各プロセスの担当デザイナーのお話を順次掲載していきます。
次回は、引き続きチーフデザイナー中山さんの「CX-5のコンセプト作り」です。お楽しみに!

カテゴリー:クルマ