MAZDA BLOG
2016.7.27

【ロードスター RF 開発秘話】ロードスターでみなさまに笑顔を届けたい。純粋な夢を追い求めて。

我が家にマツダ ロードスター RFがやって来た! その瞬間から始まる、ロードスター RFと共にある人生の日々を、ぜひ想像してみてください。

人生のあらゆるシーンに、大空と、静けさと、操る悦びを手に入れるトキメキ。アクティブに風を感じたいときも、フォーマルに装いたいときも、期待を遙かに超える身近な友としてロードスター RFはそこにあります。

“だれもが、しあわせになる”

初代から27年間大切に育み続けてきたロードスターの魂は、遊び心を全身で表現するソフトトップモデルだけのものではない。この想いが、ロードスター RF開発陣の胸に、“クルマはどこまで人をしあわせにできるだろう”という新たな志を芽生えさせました。

意のままに車を走らせる歓びを、あらゆる人に感じてもらいたいと願うマツダの開発陣が完成させたロードスター RF。これから紹介するのは、そんな“ロードスターの達人”たちが、たった1つの理想に向かって歩んだ、開発の物語です。

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妥協を許さない強い志が開発のハードルを引き上げた。

ロードスター RFのファストバックスタイル、すなわち、ルーフからリアエンドへなだらかに流れるラインが魅せる美しく印象的なデザインは、このクルマのあるべき理想を適える解として、すんなりと開発陣の腹に落ちました。けれどもその決定は、想像を絶する技術的な難しさとなって、自らの行く先に高いハードルを課す決定でもありました。

2013年中旬、4代目ロードスターの開発は、ソフトトップモデルにおいて、グラム作戦に象徴される細部の煮詰めに入っていました。針の穴に糸を通すような1点を貫く志で姿を見せ始めたその1台は、真の美しさを純粋に求めた線と面でコンパクトに形づくられていました。そこには、ソフトトップよりもずっとかさばるリトラクタブルハードトップの格納を見越したデザインは採られていませんでした。

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同じ頃、ソフトトップモデル開発の進捗を受けていよいよ本格的にスタートしたリトラクタブルハードトップモデル=ロードスター RFの開発陣は、いくつもの領域に分業された開発現場を互いに行き来する日々を送っていました。

彼らの脳裏には、印象的に焼きついた1枚のスケッチがありました。赤と青のペンで描かれた、やがて生まれ来るロードスター RFの姿。

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ドライビングのすべてを手の内に抱くことができる軽量でコンパクトなボディサイズ、“人馬一体”を生み出す理想的なホイールベース、そして2人の笑顔がどこまでも遠くへ走り続けることを可能にする荷室容量。

ロードスターがロードスターであり続けるために守り続けてきた3つの志を、ソフトトップモデルと同一としながら、リトラクタブルハードトップを纏う1台。その美しいファストバックスタイルは、ロードスター RFに備わる新しい魅力として、開発の方針を決定したそのスケッチの中に見事に表現されていました。

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脳裏に焼きついたままのロードスターRFを何としても実現する。そのためには、いくつもに分業された開発領域の垣根を越えて、1つの目標に向かって力を合わせるしかない。開発に携わる各人の足は、関係するあらゆる領域の研究室に自然に向かっていたのです。それは、ソフトトップモデルの開発を通じてマツダにすっかり根付いた共創の心が、次なる挑戦に向けて発動したことを示す光景でした。

 

ロードスターRFが創造する新しい価値の実現を目指して。

ロードスター史上初となるファストバックスタイルは、はたして大空と風を感じるドライビングを可能にするのだろうか。ドアミラー越しに見える肩越しのボディラインを美しく魅せるリアルーフの形状や接合点はどこにあるのか。軽量・高品質かつ強靱で高い静粛性を可能にするルーフ素材とは何か。もちろん、人馬一体を実現するエンジンやサスペンションの設定なども含めて、うず高く積み上げられた課題を、1つまた1つと検証し、解決するための日々が続きました。

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なかでも、リトラクタブルハードトップとデザインの融合は、実現不可能かと思われるほどの難しい作業になりました。鼻先からフロントフェンダーの峰を駆けぬけ、ドライバーの肩越しを流れてテールへ解き放たれる光束が美しい印象的なラインは、ソフトトップモデルで世界を魅了した新しいロードスターの象徴です。一方、ハードトップを構成する複数のパートを滑らかにシンクロさせながら、あっという間に格納するための機構は複雑さを極め、相当大きなサイズになるのが常です。それらの機構をすべて、コンパクトなロードスターのボディの中に収めなければなりません。メカニズムの設計を担当するエンジニアは、物理的な制約が尋常でないことをデザイナーに打診していました。もちろんデザイナーもそのことは重々承知していました。

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「ここは、なんとか知恵を振りしぼって、一歩も二歩も先を行く技術を完成させてもらえないだろうか」「やるしか、ないね」

デザインスタジオに置かれたロードスターRFのモックアップを見つめるデザイナーとエンジニアの想いは、それぞれの領域での妥協を求める応酬ではなく、ただただ目の前にあるこの1台を創り出し、世界中でこのクルマを待ち焦がれる人たちへ届ける術を共創してゆこうという想いに重なりあっていったのです。

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さらに過酷さを増した開発の日々が続きました。リトラクタブルハードトップのためのギアとルーフを支えるリンケージ、そして電気モーターは、機構全体の幅を徹底的に抑えるために何度もレイアウトが見直され、部品同士のすき間も極限まで詰められました。その間、ルーフの分割割合やリンケージの仕様ごとに異なる何パターンもの開閉動作の様子を、デジタルデザイナーがコンピュータ上に、動くクレーモデルのような試作車として再現し、検証し続けました。乗員への干渉なく、外観だけでなく、開閉の動作まで美しく……。その結果、今までみたこともないような薄幅の開閉機構が完成し、まるで指先の動きまで華麗な一流のフィギュアスケーターの舞のように開閉するリトラクタブルハードトップが生まれたのです。

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(写真 左:ハードトップ機構の模型)

 

生産ラインも共に創りあげた心づくしの1台で世界を笑顔に。

そしてもう1つ、皆さんにお伝えしたいことがあります。

デザイナーやエンジニアたちが、たった1つの解を導き出すための開発現場には、驚くべきことに、生産ラインを構築するエンジニアたちの姿もありました。彼らは、開発の進捗をただ待つだけではなく、自ら積極的にデザインルームや開発現場に足を運び、製造のフィールドから提案できる最新のノウハウを届けたのです。もちろん、デザイナーやエンジニアたちも、そんな彼らの声を歓迎しました。その結果、心づくしの創造作業が生み出した理想の1台を、高品質で、アフォーダブルな価格と共にお届けするための工場における製造ノウハウは、徹底的に磨きあげられ、いよいよ総力を結集した創意のひと滴が広島から次々と送り出される日を迎えようとしています。

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共存は不可能と思われた事柄……「風と共に“人馬一体”を体現する走り味」「美しいデザイン」「より多くの人にロードスターの笑顔を実現するリトラクタブルハードトップ」のすべてを高い次元で実現する「ロードスター RF」は、このクルマの本質を見据え貫いた高い志と、1つの目標に向かってそれぞれの分野を越えて知恵を出し合う共創の力が生み出した1台です。ドライバーズシートで、街角で、その姿に笑顔こぼれる日の到来は、もうカウントダウンに入っているのです。

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そしてこの物語は、文中に登場した1枚のスケッチを描いたエクステリアデザイナー・南澤正典の心根に迫る「ロードスターの達人」へと続きますので、下記記事もご覧下さい。

▲共創の力が生んだ、ロードスターの新しい価値。~ロードスターの達人1.エクステリアデザイナー 南澤正典
https://blog.mazda.com/archive/20160831_01.html

▲「リトラクタブルハードトップ」の美しい動きを追究して ~ロードスターの達人2. ルーフシステム設計者 松本 浩一
https://blog.mazda.com/archive/20160921_01.html

▲生産工場の創意工夫が切り開く、設計&デザインの自由。 ~ロードスターの達人3. 車両組立技術者 中村 貴樹
https://blog.mazda.com/archive/20161019_01.html

 

カテゴリー:クルマ
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