【インタビュー】すべてのお客さまに “走る歓び”をお届けしたい。マツダの福祉車両開発に込められた想いとは。
マツダは、マツダ車に乗るすべてのお客さまに“走る歓び”をお届けしたいと考えています。
そして、お身体の不自由な方にも、単なる移動手段ではなく、クルマを運転する楽しさを体験していただきたい。そんな想いでマツダは福祉車両を開発しています。
今回、主査としてマツダの福祉車両の開発を牽引する、田中賢二(たなか けんじ)がその想いやこだわりについて語ります。
乗りたいクルマを諦めてほしくない
「たとえお身体が不自由だとしても、乗りたいクルマを諦めてほしくない。それが私たちの福祉車両開発のスタートでした。福祉車両についても、マツダのクルマづくりの想いをベースに開発しています。
この度、発売することができたロードスターの手動運転装置付車両もそう。なぜロードスターのようなスポーツカーで採用したのかというと、それは、乗っていて楽しいクルマであり、そして福祉車両を開発するのが一番難しいクルマだから。これを実現することができれば他のクルマにも展開することができると考えました。」
ロードスターの醍醐味である“自分で操っている感覚”を楽しむためのこだわりとは
「この手動運転装置付のロードスターでは、左手のコントロールグリップでアクセル/ブレーキ等の操作をして、右手でステアリングの操作を行うことができます。
コントロールグリップ ステアリング操作用のグリップ
ロードスターは2人乗りのオープンカーであり、車内空間に非常に制約のあるクルマです。そのため、特にコントロールグリップのスペース確保のために、サイドブレーキを左にずらすなど部品の配置や形状の変更を行い、試行錯誤を繰り返しました。
サイドブレーキとコントロールグリップ配置
そして、ロードスターの醍醐味である“自分で操っている”感覚を楽しんでいただくためのこだわりが、ステアリングの右側にある「DOWN」のボタン。通常、ステアリングの裏側左に「DOWN」右に「UP」のステアリングシフトが付いていますが、このボタンを設置することによって、左手でアクセル/ブレーキの操作をしながら、右手だけでギアのアップダウンを操作できるようにしています。
*ボタンの仕様は量産車とは異なります。
アクセル/ブレーキの操作を左手で行うため、身体が左右に振られてしまうと、クルマの挙動に影響を与えてしまいます。そこで、サイドブレーキを下げた状態で、その上に腕をのせコントロールグリップに手を添えると、サイドブレーキが左腕の支えになり安定した走りをすることができます。乗る方の快適性を考えたこだわりです。
ちなみに、このロードスターでは車輪着脱式の22インチの車いすであれば助手席に積むことができます。また、トランクに積むことが可能ですので、友人や恋人、ご夫婦とドライブを楽しんでいただく事もできます。」
「これまでの福祉車両を展示したイベントで、お客さまから『ロードスターのようなクルマで福祉車両を設計してくれてありがとう』といった感謝の言葉をいただきました。こういったお客さまからの言葉がとても励みになっています。今後もこうした方々の期待に応えられるようなクルマを開発したいと思います。
お身体が不自由でも、もっと遠くに行けるようにしたい。そして、クルマを通じて様々な人と繋がったり、マツダ車の走りを楽しんでいただきたい。それが私の想いです。
今年9月に東京ビッグサイトで開催された「第44回 国際福祉機器展 H.C.R.2017」にて、今回ご紹介した「ロードスター RF」手動運転装置付車をはじめ、「CX-5」助手席リフトアップシート車、「アテンザワゴン」車いす格納装置および手動運転装置付車(参考出品)、「フレアワゴン」車いす移動車の4台を展示しました。
会場では、マツダブースにもたくさんのお客さまが来場され、実際に体感されたり、説明員として参加したマツダ社員とコミュニケーションをしていただきました。
お客さまからは、「ロードスターのようなスポーツカーにも福祉車両を設定するところがマツダらしいですね。」
「このCX-5であれば、介護もできて、スタイリングも良い。うちは1台しかクルマを持てないので、デザイン、走りも楽しみながら介護ができるのは嬉しいです。」といったコメントをいただきました。
なお、今回ご紹介した「ロードスター RF」手動運転装置付車は、10月28日より一般公開される「東京モーターショー2017」でもご覧いただけます。
ぜひ、会場にお越しの際は、マツダブースでご覧になってみてくださいね。
▲東京モーターショー2017 マツダオフィシャルサイト:
http://www2.mazda.co.jp/motorshow/2017/
▲マツダの福祉車両について:
http://www.mazda.co.jp/cars/welfare/